
かんざらしは、長崎県島原市に古くから伝わる甘味です。白玉粉で作った小さな団子を島原の湧き水で冷やし、砂糖や蜂蜜で作った蜜をかけて食べます。みずみずしく、もちもちとした団子と、甘さを控えた蜜ののど越しが持ち味です。名前は、原料のもち米を大寒のころに水にさらして白玉粉を作ったことに由来するとされます。島原は「水の都」と呼ばれ、町のあちこちで澄んだ地下水が湧いています。一年中温度が変わらない湧き水は、団子を冷やすのに向いていました。かつては夏に客をもてなす特別なおやつでしたが、今では市内の多くの飲食店で味わえます。大正時代創業の名店「銀水(ぎんすい)」は一度閉店しましたが、島原市の手で2016年に復活しました。2021年度(令和3年度)には文化庁の「100年フード」に認定されています。
発祥
農林水産省によると、島原の庶民は年貢として納める米を口にできず、くず米をすりつぶして米粉にし、食べていました。夏は米粉が傷みやすいため、団子にして湧き水の中で保存したといわれます。1792年(寛政4年)、眉山(まゆやま)の崩壊などで大きな被害が出た「島原大変」が起き、その地形の変化で、一帯には多くの湧き水が出るようになりました。砂糖作りが盛んだったこともあり、白玉に蜜をかけて夏の客に振る舞ったのが始まりとされます。
歴史
かんざらしの名店として知られる「銀水」は、1915年(大正4年)に入江ギンさんが開いた店です。1955年(昭和30年)に店を継いだ田中ハツヨシさんの代まで続きましたが、1997年(平成9年)に閉店し、建物は20年近く空き家になりました。島原市が土地と建物を取得して整備し、2016年に「浜の川湧水観光交流館『銀水』」として復活させました。2021年からは、市の指定管理を受けた玉乃舎が運営しています。
特徴
白玉粉に湧き水を加えて練り、小さく丸めてゆでます。浮き上がった団子は、湧き水を張った別の器に移して冷やします。冷蔵庫に入れると芯ができておいしくなくなるため、冷蔵はしないとされます。蜜は砂糖や蜂蜜で作りますが、配合は店ごとに異なり、味わいもさまざまです。銀水の二代目は、蜜の作り方を誰にも教えなかったと伝えられています。
主な食材
食文化
砂糖がぜいたく品だったころ、かんざらしは夏の来客をもてなす特別なおやつでした。家庭で作って親戚に配ることも多かったといいます。砂糖や蜂蜜が手に入りやすくなってから、日常的に食べられるようになりました。今では市内の約10店舗で味わえると紹介されています。
家庭料理との違い
家庭でも作られ、長崎県栄養士会のレシピでは、ざらめと砂糖に、薄口しょうゆと塩を少し加えた蜜を紹介しています。ゆでた白玉は冷水で冷やします。店では、一年中温度の変わらない湧き水で白玉を練り、冷やすのが特徴です。蜜の配合は店ごとの秘伝とされます。
有名店
浜の川湧水観光交流館「銀水」
長崎県島原市白土桃山2-1093
1915年創業の「元祖かんざらし」の店を、島原市が2016年に復活させた施設です。隣の浜の川湧水と同じ水を使っています。公式サイトでは、かんざらしが600円、カステラなどの添え菓子と飲み物が付く銀水セットが1,300円です。持ち帰りもできます。価格は変わることがあります。
詳細を見る →しまばら水屋敷
長崎県島原市万町513-1
明治期の商家の屋敷を生かした喫茶店で、庭の池には湧き水が流れ込みます。かんざらしにも湧き水を使い、蜜は甘さを控えめにしているそうです。旅行ガイドでは、かんざらしが440円と紹介されています。価格は変わることがあります。
詳細を見る →| 玉乃舎のかんざらし詰合せ | 銀水を運営する島原市の玉乃舎が作るかんざらしです。蜜で食べるかんざらしと、ぜんざいの2種類を詰め合わせた商品があります。1食は団子60gとシロップ70gで、賞味期限は製造日から常温で10日です。島原市のふるさと納税の返礼品として扱われています。購入先を見る →PR |
|---|---|
| 喫茶ケルンのかんざらし | 島原市高島にある古民家喫茶、喫茶ケルンのかんざらしです。築100年以上の建物を生かした店で、40年以上地域に親しまれていると紹介されています。店で出しているかんざらしを、そのまま冷凍して届けるお取り寄せがあります。購入先を見る →PR |
よくある質問
Q. 「かんざらし」という名前には、どんな意味がありますか?
A. 漢字では「寒ざらし」と書きます。昔は、原料のもち米のくず米を大寒の日の前後に石臼で水びきし、沈んだ粉を乾かして白玉粉を作りました。寒い時期に米を水にさらすこの作り方から、「寒ざらし」と呼ばれるようになったとされます。