しゃくし菜漬け

Shakushina-zuke

しゃくし菜漬け 1

しゃくし菜漬けは、秩父地方で古くから栽培されてきたアブラナ科の野菜「しゃくし菜(雪白体菜)」を漬け込んだ、秩父の冬を代表する保存食です。葉の形がご飯をよそう「杓子(しゃくし)」に似ていることが名前の由来とされ、山あいで平地の少ない秩父では稲作に頼れない分、こうした畑作物を使った漬物文化が発達しました。塩漬けだけでなく乳酸発酵の力を借りて漬け込むのが特徴で、白菜のようなクセがなく、シャキシャキとした歯切れの良さとほどよい酸味が持ち味です。かつては家庭ごとに漬け方や味に違いがあり、冬を迎える前に一家総出でしゃくし菜を漬け込む光景が秩父の冬の風物詩となっていました。現在は農産物直売所や漬物専門店で通年購入でき、そのまま食べるほか、油炒めや饅頭の具としても親しまれています。

発祥

しゃくし菜は葉の形がご飯をよそう「杓子」に似ていることから名付けられたとされ、「へらな」「お玉菜」などの別名もあります。中国華中・揚子江一帯で栽培されていた体菜が明治初期に伝来し、冬の寒さが厳しく粘土質の土壌で長大根の生育が難しい秩父地方に定着したものです。山間部で稲作に不向きなこの地では、冬場の保存食として野菜を漬け込む食文化が発達し、しゃくし菜漬けが定着しました。

歴史

かつては結球ハクサイが普及するまで日本の漬け菜生産の首位を占めるほど各地で作られていましたが、秩父では冬を前に家ごとにしゃくし菜を漬け込み、それぞれの家庭の味が受け継がれてきました。商品化は1963年に石川漬物が初めて手がけ、1969年の西武秩父線開通を機に秩父の土産物として広く知られるようになりました。近年は減塩・冷蔵保存の技術も進み、通年出荷が可能な商品として道の駅や直売所に並んでいます。

特徴

塩だけでなく乳酸発酵を利用して漬け込む点と、塩分控えめで酸味がある点が特徴です。この製法は長野県木曽地方の「すんき漬け」にも通じ、野沢菜漬けのように塩分より発酵の力で保存性を高めています。白菜にはないシャキシャキとした食感を持ち、漬け込みが進んで古漬けになるとべっこう色に変化し、風味が一層増します。

主な食材

しゃくし菜(雪白体菜)塩

食文化

山間部で稲作に恵まれなかった秩父地方では、畑で育てた野菜を漬物にして保存する文化が根付き、しゃくし菜漬けはその代表格として冬の食卓を支えてきました。炒め物やまんじゅうの具に利用するなど、漬物以外の使い方も伝わっています。

有名店

石川漬物

埼玉県秩父郡小鹿野町小鹿野2387

伝統的な製法を守る老舗。じばさん商店や道の駅ちちぶなどで販売

JAちちぶ

埼玉県秩父市太田2627-1

秩父地域の直売所や宅配でしゃくし菜漬けを取り扱う

#漬物#秩父#保存食#発酵食品