
せんざんきは、愛媛県今治市を中心とする東予(とうよ)地方の郷土料理で、鶏肉の唐揚げです。農林水産省「うちの郷土料理」では、骨付きの若鶏を一口大に切り、薄口醤油や酒、しょうが汁、にんにくなどで下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げる料理として紹介されています。骨ごと揚げることでうまみが出て、下味もよくしみ込むとされます。名前の由来には、鶏を千に斬ることから「千斬切」と呼んだとする説や、中国語の鶏の唐揚げの呼び名がなまったとする説などがあり、はっきりしていません。祝いの席や運動会、行楽、ふだんの弁当など、季節を問わず食べられてきました。今治では焼き鳥店や居酒屋の定番で、鉄板で焼く今治焼き鳥の「皮」に始まり、せんざんきで締めるのが通の食べ方ともいわれます。
発祥
農林水産省の資料では、江戸時代に今治市の近見山(ちかみやま)で捕ったキジを揚げたのが始まりといわれる一方、詳しい記録は見つかっていないとされます。表記は「千斬切」のほか「せんざん雉」とも書かれます。名前は、鶏を丸ごと千に斬るように細かく切ったことから付いたとする説や、中国語で鶏の唐揚げを指す「軟炸鶏」などの発音がなまったとする説があります。
歴史
第二次世界大戦後、今治市内の人気店に行列ができたことで、地域に広まったとされます。今治市湊町にあった店「スター」で出されていた「軟炸鶏」がなまって「せんざんき」になったとする説もあります。現在は県内の居酒屋や直売所、多くの専門店で扱われ、持ち帰りも一般的です。なお、新居浜市では「ざんき」と呼び、骨のない肉で作るとされます。
特徴
骨付きの肉を使うのが基本で、部位に決まりはなく、さまざまな部位を揚げます。骨ごと揚げるため骨からうまみが出て、かむと肉汁があふれるとされます。農林水産省の紹介では、下味に20分ほど漬けてから片栗粉をまぶし、中温で揚げます。片栗粉に卵を加えた衣で揚げる作り方もあります。店によっては食べやすく骨なしで出したり、辛さを選べたりします。
主な食材
食文化
祝いの席や地域の集まり、運動会、行楽、毎日の弁当のおかずとして、季節を問わず食べられてきました。今治の焼き鳥店では、鉄板で焼く「皮」と並ぶ定番の一品で、焼き鳥を味わったあとの締めとして注文されることが多いとされます。
家庭料理との違い
作り方が手軽なため、家庭でもよく作られています。家庭では骨付き肉を一口大に切って下味に漬けて揚げるのが一般的です。店ごとに味付けや揚げ方が異なり、骨付きのまま出す店もあれば、食べやすく骨なしで出す店もあります。
有名店
鳥林
愛媛県今治市南大門町1丁目
JR今治駅から歩いて5分ほどの場所にある、40年以上続く今治焼き鳥の老舗と紹介されています。「今治焼き鳥四天王」の一つに数えられることもあります。口コミでは、骨付きのせんざんきが特に評価されています。
世渡(せと)
愛媛県今治市黄金町1丁目5-20
鉄板で焼く皮で知られる今治焼き鳥の人気店で、せんざんきも人気のメニューです。紹介記事では、せんざんき4個が500円とされていました。JR今治駅から歩いて15分ほどです。営業は夜のみです。
まる屋
愛媛県今治市旭町4-3-32
オレンジ色の看板が目印の焼き鳥店です。2016年の紹介記事では、せんざんきを食べやすく骨なしで出しており、価格は500円でした。追加料金で1辛から3辛まで辛さを選べると紹介されています。
やきとり山鳥
愛媛県今治市末広町1丁目4-7
家族で営む焼き鳥店で、独自に開発した地鶏「伊予水軍鶏」を使っています。紹介記事では、せんざんきが495円、鳥皮が473円とされていました。JR今治駅から歩いて10分ほどで、月曜日が定休です。
よくある質問
Q. 「せんざんき」という名前は、どこから来たのですか?
A. 鶏を丸ごと千に斬るように細かく切ったことから「千斬切」と呼んだとする説や、中国語で鶏の唐揚げを指す「軟炸鶏」などの発音がなまったとする説があります。今治市にあった店の料理名から広まったという説もあり、確かなことは分かっていません。
Q. 北海道のザンギと関係はありますか?
A. ザンギも、中国語で鶏の唐揚げを指す「炸鶏(ザーチー)」に由来するという説があり、名前の成り立ちに似た説が伝わっています。ただし、せんざんきとザンギが直接つながっているかどうかは定かではないとされます。