追分羊かんは、静岡県静岡市清水区追分の「追分羊かん本店」が作る、竹の皮に包んだ蒸し羊羹です。店は1695年(元禄8年)の創業とされます。旧東海道の江尻宿(えじりしゅく)のはずれ、久能山(くのうざん)へ向かう久能道との分かれ道(追分)に店を構えています。東海道を行き交う旅人に親しまれ、300年以上にわたって街道の名物として受け継がれてきました。小豆のあんにもち米を混ぜ、竹の皮で包んで蒸し上げるため、竹の香りが移ります。ねっとりとした独特の舌触りで、甘さは控えめの素朴な味わいです。竹の皮の上から包丁で切り分け、皮をはがして食べるのも特徴です。江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜が好んだとも伝わります。東海道の旅をテーマにした日本遺産「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」の構成文化財の一つにもなっています。
発祥
店に伝わる話では、江戸幕府3代将軍・徳川家光のころ、府川家の主人が箱根の山中で、旅の途中に病に倒れた明(中国)の僧を介抱しました。回復した僧は感謝のしるしに、小豆を使った菓子の製法を伝えたとされます。これが追分羊かんの始まりで、1695年(元禄8年)に江尻宿の追分で創業したと伝わります。初代は製糖業を営んでいたともいわれます。
歴史
追分は、東海道と久能山へ向かう道が分かれる場所で、羊羹は街道を行き交う旅人の土産として親しまれました。店はこの羊羹を、歌川広重が浮世絵に描いた東海道五十三次の道中名物として受け継いできました。明治維新後に静岡で暮らした徳川慶喜はこの羊羹を格別にひいきにし、しばしば味わったと伝わります。2020年度(令和2年度)には、静岡市などの東海道の宿場や名物を結ぶ日本遺産が認定され、追分羊かんもその構成文化財の一つになりました。
特徴
北海道産の小豆で作ったあんにもち米を混ぜ、竹の皮で包んで蒸し上げます。竹の皮で包んで蒸すのは、殺菌の効果があり、竹の香りが羊羹に移って風味が増すためとされます。ねっとりとした独特の舌触りと、甘さを抑えた素朴な味わいが特徴です。蒸した後に真空パックにするため水分が残っており、季節によって固さが変わることもあります。
主な食材
食文化
追分羊かんは、東海道を旅する人々の土産として広まりました。今も清水を代表する土産として親しまれています。竹の皮の上から包丁を入れて切り分け、皮をむいて食べる独特の食べ方も、昔ながらの楽しみの一つです。
有名店
追分羊かん本店
静岡県静岡市清水区追分2-13-21
1695年(元禄8年)創業とされる老舗で、旧東海道の江尻宿と久能道の分かれ道に建っています。竹の皮で包んだ昔ながらの追分羊かんのほか、刻んだ栗を混ぜた羊羹も扱っています。清水区内には大曲店もあります。
詳細を見る →| 追分羊かん(袋入り) | 竹の皮で包んで蒸し上げた定番の追分羊かんで、内容量は1本270gです。公式サイトの通信販売では1本1,650円程度〜で購入できます。店は竹の皮の上から切り、なるべく早めに食べるよう案内しています。 |
|---|---|
| 追分ようかん きざみ栗入り | 細かく刻んだ栗をたっぷり混ぜ込んだ蒸し羊羹で、内容量は340gです。定番の追分羊かんと1本ずつ組み合わせた2本入りのセットもあり、食べ比べを楽しめます。 |
よくある質問
Q. 追分羊かんはどうやって切ればよいですか?
A. 竹の皮に包まれたまま、皮の上から包丁を入れて切り分け、皮をむいて食べます。蒸した後に真空パックにしているため水分が残っていますが、品質には問題ないとされています。まれに竹の皮の繊維が羊羹に入ることがあるので、その場合は取り除いて食べます。