
からすみは、ボラの卵巣を塩漬けにし、天日で干し上げた長崎の珍味です。艶のある琥珀色をしており、べっ甲色やあめ色とも表現されます。ねっとりとした食感と、魚卵ならではの濃厚なうまみが特徴です。江戸時代には、越前のうに、三河のこのわたと並ぶ三大珍味の一つに数えられたとされます。名前は、形が中国から伝わった墨「唐墨(からすみ)」に似ていることに由来するといわれます。もとは中国から伝わったもので、長崎でボラの卵巣を使う製法が考案されたとされます。長崎県産のものは「長崎からすみ」として、2023年に国の地理的表示(GI)に登録されました。薄く切って酒の肴にするほか、卓袱料理の一品としても出されます。希少で値の張る品のため、贈答品や高級な土産として重宝されています。
発祥
からすみは、安土桃山時代に中国(明)から長崎へ伝わったとされます。当初はサワラの卵巣で作られていたといわれます。その後、長崎で魚屋を営んでいた高野勇助が、野母崎(のもざき)周辺で多くとれたボラの卵巣を使う製法を考えたと伝わります。農林水産省の資料では、からすみの発明は延宝年間(1673〜1681年)とされ、長崎はボラを使ったからすみの発祥の地と紹介されています。
歴史
長崎のからすみは、1712年(正徳2年)から大政奉還までのおよそ150年間、将軍家に献上されたとされます。江戸時代には「天下三珍」の一つとして名高く、明治以降も卓袱料理に欠かせない食材として使われてきました。野母崎や樺島(かばしま)では、今もボラのからすみ作りが続けられています。2023年(令和5年)7月には、「長崎からすみ」が地理的表示(GI)に登録されました。
特徴
原料はボラの卵巣で、味付けには塩だけを使います。膜を破らないように取り出した卵巣の血を抜き、塩漬けにしてから塩を抜き、天日で干す工程を繰り返します。干す期間は店や時期によって異なり、約1か月かける店もあります。仕上がりは原料の半分から3分の2ほどの大きさになるとされます。国内では良質なボラが手に入りにくく、海外産の卵巣を使う店もあります。
主な食材
食文化
からすみは薄く切って、そのまま酒の肴にするのが定番です。長崎では卓袱料理の一品としても出されてきました。原料のボラは秋の魚で、からすみは俳句の季語にもなっています。近年は、ほぐしたからすみやお茶漬けなど、家庭で使いやすい商品も老舗から出ています。
有名店
高野屋
長崎県長崎市築町1-16
1675年(延宝3年)創業と紹介される、からすみの老舗です。創業以来からすみ一筋で、伝統の製法を守っているとされます。旅行ガイドでは、片腹20gが1,080円からと紹介されています。ほぐしたからすみや、からすみ茶漬けも扱っています。価格は変わることがあります。
詳細を見る →小野原本店
長崎県長崎市築町3-23
1859年(安政6年)創業の老舗です。戦前に建てられた店舗は原爆の被害を免れ、国の登録有形文化財になっています。塩分を控えめにし、すべて手作業でしっかり干すのが特徴とされます。2025年4月末時点で、からすみスライスが540円と紹介されています。価格は変わることがあります。
詳細を見る →| 小野原本店のからすみ加工品 | 丸ごとのからすみは高価ですが、小野原本店では手に取りやすい加工品も作っています。2025年4月末時点で、からすみちりめんが1,620円、からすみパスタオイルが1,836円と紹介されています。重さによって値段が変わる家庭用のからすみもあります。価格は変わることがあります。購入先を見る →PR |
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よくある質問
Q. 「からすみ」という名前の由来は何ですか?
A. 形が、中国から伝わった墨「唐墨」に似ていることに由来するといわれます。豊臣秀吉に名を尋ねられた者が「唐墨」と答えたという逸話も伝わりますが、確かなことは分かっていません。名前の由来には諸説があります。
Q. からすみは日本だけの食べ物ですか?
A. 魚の卵巣を塩漬けにして干す食品は、海外にもあります。台湾ではボラで作ったものを「烏魚子」と呼び、あぶって薄切りにし、大根などと食べます。イタリアのサルデーニャ島には「ボッタルガ」があり、パスタに使われます。
Q. 日本三大珍味とは何ですか?
A. 江戸時代から、肥前(現在の長崎県・佐賀県)のからすみ、越前(福井県)のうに、三河(愛知県)のこのわたが三大珍味と呼ばれてきました。このわたはナマコの腸の塩辛です。農林水産省の資料では「天下三珍」として紹介されています。