クエ鍋

Kue Nabe (Longtooth Grouper Hot Pot)

クエ鍋 1

画像: Wikimedia Commons

クエ鍋は、ハタ科の高級魚クエを野菜などと一緒に煮て味わう、和歌山県の冬の名物です。クエは体長1メートルを超えることもある大型の魚で、数が少なく「幻の高級魚」とも呼ばれます。「クエ食ったら他の魚食えん」という言葉があるほど味の評価が高い魚です。紀伊水道に面した和歌山県はクエの好漁場として知られ、なかでも日高町は「クエの町」として有名です。町内の民宿や旅館では、刺身や唐揚げとともにクエ鍋を出すフルコースが名物になっています。2018年には日高町のクエ鍋が「ニッポン全国鍋グランプリ」で日本一に輝きました。鍋にすると皮のまわりのゼラチン質が溶け出し、旨みの濃いだしになります。最後はそのだしで雑炊にするのも楽しみです。旬は10月下旬から2月ごろで、産卵後の夏も「裏旬」として味が良いとされます。

発祥

クエは西日本から東シナ海、南シナ海の沿岸に分布するハタ科の魚です。九州ではアラ、各地でモロコなどとも呼ばれ、「九絵」の字を当てることもあります。和歌山県の紀伊水道はクエの好漁場で、一本釣りやはえ縄で獲られてきました。日高町阿尾(あお)の白鬚(しらひげ)神社には、クエを神前に供える「阿尾のクエ祭」が約300年前から伝わるとされ、クエと漁師町の結びつきの古さがうかがえます。

歴史

阿尾のクエ祭は、昭和51年(1976年)に和歌山県の無形民俗文化財に指定されました。日高町の民宿や旅館は、クエのフルコースを出す宿として知られるようになり、町は「クエの町」と呼ばれています。平成30年(2018年)1月、埼玉県和光市で開かれた「ニッポン全国鍋グランプリ2018」で、日高町のクエ鍋がグランプリに輝きました。2年前の大会では3位で、念願の日本一だったと伝えられています。

特徴

クエは身と皮の間に脂がのっており、皮やアラ(骨や頭)からも良いだしが出ます。日高町の多くの民宿旅館では、皮をはがずにうろこだけを取る手間をかけ、皮ぎしの旨みを残しています。鍋に入れると皮のゼラチン質が溶け、深い味わいのだしになります。ゆず風味の鍋に仕立てる店もあり、ゆずポン酢などで食べて、締めは雑炊にするのが定番です。

主な食材

クエ(身・皮・アラ)野菜ゆず・ポン酢ごはん(締めの雑炊)

食文化

日高町阿尾の白鬚神社に伝わる「阿尾のクエ祭」では、当屋衆と若衆が大きなクエを奪い合う「クエ押し」が行われ、豊漁と海上の安全を祈ります。クエそのものを神輿のように扱う珍しい祭りとして知られています。

家庭料理との違い

クエは漁獲が少なく高価なため、家庭で丸ごと料理する機会は多くありません。日高町の民宿などでは、皮を残してうろこだけを取るなど手間をかけてさばき、刺身や唐揚げ、鍋、雑炊までを一度に味わうフルコースで出すのが特徴です。

有名店

割烹 岬

和歌山県日高郡日高町比井673

岬旅館の1階にある食事処で、一年中クエ料理を出しています。漁師でもある主人が営み、鮮度の良さが評判です。うす造りやゆず風味の鍋、炙り寿司、唐揚げなどを味わえます。クエフルコースは13,200円程度、クエ定食は2,900円程度の例があります。

料理宿 橋本荘

和歌山県日高郡日高町産湯736-1

産湯(うぶゆ)海岸に近い料理宿で、主人が目利きしたクエ料理を出します。クエ鍋セットは平日11,440円程度から、クエフルコースは20,240円程度からです。2名以上で予約が必要です。夏はハモ料理も楽しめます。

民宿 はまよし

和歌山県日高郡日高町志賀3960-1

由良湾を望む民宿で、天然の活きたクエにこだわった料理を出しています。活クエ鍋コースは19,800円程度から、天然クエフルコースは23,650円程度からの例があります。

よくある質問

Q. クエとアラは同じ魚ですか?

A. 九州ではクエをアラと呼ぶ地域がありますが、標準和名の「アラ」はクエとは別種の魚です。名前が同じため混同されやすい点に注意が必要です。和歌山県ではクエの名で呼ばれ、日高町などでクエ料理として親しまれています。

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