小鯛のささ漬けは、若狭湾でとれた小さな鯛を三枚におろし、塩と酢で軽く締めて杉の小樽に詰めた福井県小浜市の名産品です。原料には主に「レンコダイ(連子鯛)」と呼ばれる、キダイの小型のものが使われます。体長10cmほどの小鯛から鱗と小骨を丁寧に取り除き、薄塩をしてから酢や調味酢に漬けます。樽に詰めたあと、最後に笹の葉をあしらって仕上げます。皮は鮮やかなピンク色に輝き、身は透明感のある白色や淡い飴色をしていて、見た目の美しさも魅力です。製法は明治期に小浜で確立したとされ、大消費地である京都との結びつきの中で育まれてきました。2017年(平成29年)には「若狭小浜小鯛ささ漬」として、国の地理的表示(GI)保護制度に登録されています。現在は小浜市内の製造業者でつくる協同組合小浜ささ漬協会が、伝統の味を守り伝えています。
発祥
若狭は古くから「御食国(みけつくに)」と呼ばれ、都へ食材を納めてきた土地です。小浜で水揚げされた海産物は「鯖街道」を通じて京都へ運ばれました。農林水産省によると、明治時代ごろ、海流などの影響で若狭湾のレンコダイが大量にとれるようになりました。そこで小浜の魚商人が京都の取引先に相談し、共同で商品を開発したのがささ漬けの起源とされています。
歴史
ささ漬けは、明治時代後期に小浜の池田喜助が京都の乾物問屋とともに考案したと伝えられています。当時のレンコダイは水分が多く傷みやすいため、たくさんとれても価値の低い魚でした。そのうま味を生かし、日持ちする加工品に仕立てたのが始まりです。昭和初期には「小鯛ささ漬」の名で呼ばれるようになったといいます。2017年には地理的表示(GI)に登録され、協同組合小浜ささ漬協会が伝統の継承に取り組んでいます。
特徴
若狭のレンコダイは古くから「若狭小鯛」とも呼ばれ、色が鮮やかで身や皮が柔らかいことから京で好まれてきました。三枚におろした身から小骨を抜く作業は機械化が難しく、熟練の職人が手作業で行います。薄塩をして一晩置き、翌朝に塩抜きしてから酢や調味酢に漬けます。杉樽は魚の余分な水分を吸い、うま味を凝縮させる役割も担っています。
主な食材
食文化
ささ漬けはそのままでも、ご飯にのせてもおいしく食べられます。わさび醤油や生姜醤油を添えたり、手まり寿司や酢の物、お茶漬けにしたりと、食べ方はさまざまです。小浜と京都の長い交流の中から生まれた経緯を持ち、両地を結ぶ食文化を今に伝える一品です。
家庭料理との違い
小さな鯛を三枚におろし、小骨まで抜き取る作業には熟練の技が求められます。塩加減や酢の配合、樽に昆布を挟むかどうかは製造元ごとに異なります。樽ごとに異なる味わいを食べ比べるのも楽しみ方の一つです。
有名店
若狭小浜 丸海 小浜本店
福井県小浜市大手町9-21
小浜海産物株式会社が営む店で、同社は1948年(昭和23年)創立の加工協同組合を前身とします。創業時にはささ漬けの考案者と伝わる池田喜助の子孫が加わり、その製法を受け継いだとされます。
かぎ孫・津田孫兵衛
福井県小浜市小浜玉前69-6
1688年(元禄元年)創業とされる小浜の老舗です。小鯛を天然の国産塩で締め、合わせ調味料にくぐらせたのち、昆布とともに杉樽に詰めています。協同組合小浜ささ漬協会の加盟業者です。
上杉商店
福井県小浜市城内1-3-14
協同組合小浜ささ漬協会の加盟業者です。150g入りの杉樽や90g入りの半樽など、容量の異なる小鯛ささ漬を扱っています。
| 小鯛ささ漬 大樽(若狭小浜 丸海) | 三枚におろしたレンコダイの身を塩と米酢で締め、笹の葉とともに樽に詰めた丸海の定番商品です。大樽(160g入り)は1,900円程度〜で紹介されています。 |
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よくある質問
Q. ささ漬けの「小鯛」は真鯛の子どもですか?
A. 主に使われるのは、キダイの小型のもので、若狭では「レンコダイ(連子鯛)」と呼ばれます。真鯛とは別の種類の魚です。明治期に大量にとれたこの小鯛を生かすために、ささ漬けが生まれました。