
神戸ビーフは、兵庫県産の但馬牛(たじまうし/たじまぎゅう)のうち、厳しい基準を満たした牛肉だけに与えられるブランド名です。「神戸肉」「神戸牛」とも呼ばれ、平成27年(2015年)には国の地理的表示(GI)に登録されました。基準は昭和58年(1983年)に設立された「神戸肉流通推進協議会」が定めています。素牛(もとうし)となる但馬牛は、約1200年前から兵庫県北部の但馬地方で農耕に使われてきた牛が起源です。明治元年(1868年)の神戸港開港後、外国人がその味を高く評価したことから「神戸ビーフ」の名が世界に広まりました。きめ細かな霜降りと、口の中でとろけるような脂の甘さが特徴です。認定された肉には兵庫県の花ノジギクをかたどった「のじぎく判」が押されます。ステーキやすき焼きのほか、海外でも高級和牛の代名詞として知られています。
発祥
神戸ビーフの素牛である但馬牛は、兵庫県北部の但馬地方の山あいで、古くから農耕や運搬に使う役牛として飼われてきました。地理的表示の登録資料では、その歴史は約1200年前にさかのぼるとされています。神戸肉流通推進協議会によれば、但馬牛は江戸時代から今日まで、ほかの血統を交えずに純血を守り続けてきました。こうした長い改良の積み重ねが、きめ細かな霜降りを生む土台になっています。
歴史
明治元年(1868年)に神戸港が開港すると、多くの外国人が神戸に住むようになりました。協議会は、農家から譲り受けた但馬牛を初めて食べたのはイギリス人で、その味が「神戸ビーフ」の名で広まったと伝えています。同年に初代兵庫県知事となった伊藤博文も好んで食べたという逸話があります。昭和58年(1983年)に神戸肉流通推進協議会が発足して定義を定め、平成24年(2012年)にはマカオへの輸出が始まりました。
特徴
神戸ビーフに認定されるのは、兵庫県産の但馬牛のうち、子を産んでいない雌牛か去勢した雄牛です。霜降りの度合いを示すBMS(脂肪交雑基準)がNo.6以上、可食部分の割合を示す歩留等級がAかB、肉質等級が4以上であることが条件です。枝肉重量にも499.9kg以下などの上限があります。肥育には約2年をかけ、生後30〜32か月ほどで出荷されます。人肌で溶けるほど融点の低い脂が赤身に細かく入り込み、とろけるような口あたりになります。
主な食材
食文化
神戸では明治期から牛肉を扱う店が開かれ、三宮や元町には今も老舗のステーキ店や精肉店があります。鉄板焼きのステーキのほか、すき焼きや牛肉の味噌漬けなど、さまざまな形で味わわれてきました。年間の認定数は約7,000頭と限られ、国内の牛肉消費量の0.2%未満とされます。
有名店
モーリヤ本店
兵庫県神戸市中央区下山手通2-1-17
明治18年(1885年)創業の、神戸を代表する老舗ステーキ店です。神戸ビーフや、但馬牛の血統を受け継ぐ厳選した牛肉を扱っています。各階に鉄板付きのカウンター席があり、目の前で焼き上げるステーキを味わえます。三宮駅から歩いてすぐの場所にあります。
大井肉店
兵庫県神戸市中央区元町通7-2-5
明治4年(1871年)に、神戸初の牛肉専門店として開業した老舗です。創業者の岸田伊之助は、牛の目利きと商才に優れた人物だったと伝わります。精肉の販売のほか、本店ではステーキやハンバーグなどの料理も提供しています。
| 大井肉店「牛肉味噌漬」 | 大井肉店が明治35年(1902年)に製造販売を始めた、牛肉を味噌に漬けた商品です。「牛肉佃煮」とともに全国に広まったといわれます。焼くだけで食べられるため、神戸の老舗の味を手軽に楽しめる贈り物として親しまれています。 |
|---|
よくある質問
Q. 神戸ビーフと但馬牛はどう違うのですか?
A. 但馬牛は、兵庫県内で血統を管理して育てられる牛そのものの名前です。神戸ビーフは、その但馬牛の肉のうち、霜降りや重量などの基準を満たしたものだけに許される呼び名です。つまり神戸ビーフはすべて但馬牛ですが、但馬牛がすべて神戸ビーフになるわけではありません。
Q. 「神戸牛」という品種の牛がいるのですか?
A. いいえ。「神戸牛」は肉のブランド名で、牛の品種名ではありません。正式には「神戸肉」「神戸ビーフ」と呼ばれ、地理的表示では「神戸牛」も名称に含まれています。神戸肉流通推進協議会は「神戸ビーフ」の呼び名を推奨しています。