
紀州梅干しは、和歌山県で作られる梅干しです。和歌山県は梅の収穫量が全国の約6割を占める日本一の産地で、中心はみなべ町と田辺市です。代表品種の南高梅は大粒で果肉がたっぷりとしており、梅干しにすると、とけるようなやわらかい食感になります。この地域の梅栽培は江戸時代、やせ地や傾斜地の多い土地で、紀州藩の家老・安藤直次が奨励・保護したことで広がったとされます。収穫した梅を塩に漬け、夏の日差しで干して仕上げます。山の斜面に梅林と薪炭林を組み合わせ、ニホンミツバチの受粉を生かす農業は「みなべ・田辺の梅システム」と呼ばれます。このシステムは2015年に世界農業遺産に認定されました。近年は塩分を控えた甘めの梅干しも多く作られています。
発祥
みなべ・田辺地域は傾斜地が多く、土壌の養分も乏しいため、米作りには向かない土地でした。農林水産省によると、江戸時代の紀州藩で梅栽培が始まり、17世紀初頭に家老の安藤直次が奨励・保護に乗り出しました。米のとれないやせ地は年貢が免除されたことから、重税に悩む田辺の農民が梅を植えたとも伝わります。山に自生していた「藪梅(やぶうめ)」を育てたのが始まりという話もあります。
歴史
明治時代には、伝染病の流行や日清・日露戦争の軍用食として、梅干しの需要が高まりました。1902年(明治35年)、旧南部川村の高田貞楠が植えた苗木から、大きな実をつける「高田梅」が見つかります。1950年(昭和25年)に優良母樹の調査が始まり、南部高校の竹中勝太郎教諭らが5年かけて最も優れた品種に選びました。高田梅と南部高校の名から「南高梅」と名付けられ、1965年(昭和40年)に登録されたとされます。
特徴
南高梅は実が大きく、皮が薄く、種は果実のわりに小さめです。作り方は、選果した梅をその日のうちに塩に漬け、30日ほど置きます。その後、夏の日差しで3〜4日ほど干し、洗って選別してから味付けをします。塩だけで漬けた昔ながらの「白干し」のほか、近年は減塩志向の高まりから、塩分10%以下で甘みのある調味梅干しが多く作られています。
主な食材
食文化
梅干しは、ご飯のお供やおにぎりの具、お茶請けとして日常的に食べられています。和歌山では、梅和えや梅煮など調味料としても使われます。熊野地方のめはりずしの具に入れることもあり、紀州の食卓に欠かせない存在です。
有名店
道の駅みなべうめ振興館
和歌山県日高郡みなべ町谷口538-1
梅の生産量日本一の町・みなべ町にある道の駅です。梅の歴史や特徴を映像や音声で学べる展示があり、入館は無料です。3階の特産品販売所には、みなべ町産の南高梅を使った梅干しが数多くそろいます。
紀州梅干館
和歌山県日高郡みなべ町山内1339
梅干し工場に併設された施設で、製造工程を見学できます。パネル展示で梅の歴史や効用を紹介し、直売所で梅干しや梅関連食品を買えます。予約制の「マイ梅干し作り体験」(270g、2,500円程度)もあり、1人から参加できます。入館は無料です。
| 中田食品「梅ぼし田舎漬」 | 明治30年(1897年)に米穀商として創業し、大正時代に梅の加工業へ進出した田辺市の中田食品の梅干しです。紀州南高梅を使い、塩分を6%ほどに抑えています。内容量によって異なりますが、2,000円程度からの商品があります。 |
|---|
よくある質問
Q. 「紀州梅干し」と「南高梅」は同じものですか?
A. 紀州梅干しは和歌山県で作られる梅干し全般を指し、南高梅は梅の品種名です。和歌山の梅干しは南高梅で作られるものが代表的ですが、ほかの品種を使ったものもあります。南高梅の名は「高田梅」と、品種の選定に協力した「南部高校」に由来します。