けんちょう

Kencho (Stir-Simmered Tofu and Daikon)

けんちょう 1

けんちょうは、豆腐と大根、にんじんを油で炒めてから、しょうゆや砂糖で甘辛く煮る山口県の家庭料理です。県内全域で作られ、日常のおかずとして親しまれています。家庭や地域によって、油揚げやこんにゃく、鶏肉、干ししいたけ、さといもなどを加えます。甘辛い味付けでご飯によく合い、味が染み込むほどおいしくなるため、昔は一度にたくさん作り、煮直しながら食べたといいます。1989年刊行の『日本の食生活全集35 聞き書 山口の食事』には、「鍋いっぱいに作る冬のごちそう」と記されています。名前の由来には、長崎の「けんちぇん」にちなむ説と、鎌倉の建長寺(けんちょうじ)にちなむ説があります。学校給食の献立にも登場し、汁物に仕立てた「けんちょう汁」も作られています。

発祥

名前の由来には諸説あります。一つは、細く切った野菜と豆腐を炒め、汁物や蒸し物にする長崎の「けんちぇん」に由来する説です。長崎のけんちぇんは江戸時代以降に生まれ、法事など特別な日の料理だったといいます。もう一つは鎌倉の建長寺にちなむ説で、鎌倉時代に食べられていた野菜と豆腐を炒めた汁物が元になったとされます。農林水産省の紹介では、下関で日常の料理であることや貿易の拠点だった歴史から、建長寺説が有力と考えられているとしています。

歴史

山口県の昔の食事を聞き書きでまとめた『聞き書 山口の食事』(1989年)にも、作り方が記されています。大根とにんじんを細く切って油揚げとともに油で炒め、豆腐を入れてしょうゆで味をつけるものです。山口大学の研究グループが2017年に県内の中学生の保護者に行った調査では、回答者の9割以上が大根・豆腐・にんじんを使うと答えました。研究グループは調査をもとに、地域ごとの作り方を授業用に提案しています。

特徴

水気を切った豆腐と、いちょう切りなどにした大根、にんじんを油で炒め合わせます。前述の調査では、野菜を炒めてから豆腐を加える人が約7割でした。しょうゆ、砂糖、みりん、酒などで味をつけ、ふたをして10〜15分ほど煮れば完成です。油はサラダ油が主流ですが、ごま油を使う人も約3割います。岩国地域では鶏肉やごぼう、干ししいたけを、長門地域ではこんにゃくやさといもを入れる人が多いなど、地域差も見られました。

主な食材

豆腐(木綿)大根にんじん油(ごま油など)しょうゆ砂糖みりん酒だし

食文化

けんちょうは山口県のごく身近な家庭のおかずです。山口大学の調査では、作る機会を「日常」と答えた人が92%で、作り方を実の親から教わった人が約6割でした。学校給食の献立にも取り入れられており、山陽小野田市は、けんちょうを卵で包んだ「けんちょうオムレツ」などのアレンジも紹介しています。

よくある質問

Q. けんちょうと、けんちん汁は同じ料理ですか?

A. 別の料理です。けんちょうは豆腐と大根、にんじんを炒めて甘辛く煮る、汁気の少ない煮物です。けんちん汁は野菜と豆腐を炒めて作る汁物で、建長寺の「建長汁」がなまった名ともいわれます。どちらも建長寺にちなむ説がありますが、山口ではけんちょうを汁物にした「けんちょう汁」も作られています。

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