勝浦の生まぐろは、和歌山県那智勝浦町の勝浦漁港に水揚げされる、一度も冷凍していないマグロのことです。ここでいう「生」は、刺身で食べるという意味ではなく、冷凍を経ていないという意味です。勝浦漁港はJR紀伊勝浦駅から歩いて3分ほどの、勝浦温泉の中心にある港です。那智勝浦町によると、はえ縄(延縄)漁による生鮮マグロの水揚げは日本一とされます。比較的近い漁場で獲ったマグロを、冷凍せずに氷水で冷やして持ち帰るのが特徴です。水揚げの約6割はビンチョウマグロで、ほかにメバチマグロやキハダマグロも揚がります。土曜日などを除く毎朝、港の市場には生マグロがずらりと並び、競りが行われます。町内の食堂では、もちもちとした食感の生まぐろを刺身や定食、丼で味わえます。
発祥
那智勝浦町の沖を流れる熊野灘は、黒潮にもまれて身の締まった魚がよく獲れる海です。農林水産省「うちの郷土料理」でも、那智勝浦町ではマグロはえ縄漁という伝統的な漁が今も続けられていると紹介されています。はえ縄漁とは、長い縄に枝分かれした縄をたくさん付け、その先の釣り針でマグロを1匹ずつ釣り上げる漁法です。
歴史
和歌山県の広報誌によると、勝浦漁港が入港する船をはえ縄漁船に限ったのは昭和50年代のことです。それまでは漁船や漁法に制限はありませんでした。しかし、港から比較的近い漁場で獲ったマグロは冷凍する必要がなく、はえ縄漁による「生マグロ」が注目されるようになりました。港では100年続くとされる仲卸も営業し、目利きの技を受け継いでいます。
特徴
はえ縄漁では、釣り上げたマグロをすぐに船上で活け締めにし、氷水で冷やして鮮度を保ちます。1匹ずつ釣るためマグロにストレスを与えにくく、体温の上昇で身が傷む「身焼け」も少ないとされます。冷凍と解凍を経ないので、旨みを含んだ水分(ドリップ)が出にくく、もちもちとした食感が楽しめます。漁の対象となる魚だけを獲る、持続可能な漁法でもあります。
主な食材
食文化
勝浦漁港の市場では、水揚げされたばかりの生マグロが並ぶ早朝の競りを見学できます。那智勝浦観光機構による競りの見学ガイドツアーもあります。水揚げの約6割を占めるビンチョウマグロは、淡いピンク色の身から「さくらびんちょう」の名でブランド化されています。
有名店
まぐろ料理 竹原
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地4-3-23
漁師から直接仕入れる生まぐろを、思いきり分厚く切った刺身で出す店です。トロや赤身を盛り合わせた名物のまぐろ定食は1,650円程度です。胃袋など、マグロの内臓を使った料理も人気があります。
桂城
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦398-11
JR紀伊勝浦駅から歩いて5分ほどの店です。マグロを知り尽くした主人が、季節でいちばんおいしいマグロを刺身やカマの塩焼き、鉄板焼きなどで出します。まぐろ定食は1,800円程度、カマ塩焼きは1,000円程度からです。
勝浦漁港にぎわい市場
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地7-12
勝浦漁港に隣接する施設で、生まぐろをその場で味わえる飲食ブースや、土産物の販売コーナーがあります。まぐろの解体ショーも行われています。営業は8時〜16時(飲食は15時30分まで)で、火曜定休です。
よくある質問
Q. 「生まぐろ」は冷凍まぐろと何が違うのですか?
A. 生まぐろは、獲ってから一度も冷凍していないマグロのことです。勝浦では港に比較的近い漁場ではえ縄漁を行い、冷凍せず氷水で冷やして持ち帰ります。解凍のときに出るドリップがないため、旨みや、もちもちとした食感が保たれるといわれます。