カツオのたたき

Katsuo no Tataki (Seared Bonito of Kochi)

カツオのたたき 11 / 2

画像: Wikimedia Commons

カツオのたたきは、高知県を代表する郷土料理です。三枚におろしたカツオの節(ふし)の表面だけを強い火であぶり、厚めに切り分けて、にんにくやねぎなどの薬味を添えて食べます。焼いて切った身に塩やたれを振り、たたいて味をなじませる動作が、「たたき」の名の由来とされます。高知では藁(わら)の炎で一気に焼き上げる藁焼きが名物で、香ばしい風味が身上です。たれは醤油と酢を合わせたものが一般的ですが、たれを使わず塩で食べる「塩たたき」も人気です。発祥には、漁師が船上で作ったという説や、土佐藩が生食を禁じたためという説など諸説あります。高知県は1988年(昭和63年)に県の魚をカツオと定め、2021年度には文化庁の「100年フード」にも認定されました。高知市のひろめ市場や中土佐町久礼(くれ)などでは、藁焼きにしたばかりのたたきを味わえます。

発祥

発祥には諸説あります。高知市の資料では、戦国時代末期に長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)が四国を平定する際、カツオをカヤで焼いて食べたという説が紹介されています。土佐藩が食中毒を防ぐため生食を禁じ、人々が表面だけ焼いて焼き魚として食べ続けたという説もよく知られます。禁令の時期は資料により異なり、関ケ原の合戦後に土佐へ入った山内一豊によるとする説もあります。刺身に飽きた一本釣りの漁師が船上で作ったという説もあり、いずれも伝承として語られています。

歴史

江戸時代後期の土佐では、高知城下から約20km離れた宇佐の港で揚がったカツオを、男たちが担いで休まず走り、城下へ届けていたと伝わります。冷蔵の手段がない時代の、鮮度を保つための工夫でした。たたきは皿鉢(さわち)料理の定番となり、冠婚葬祭や神事に欠かせない料理になりました。近年は、鮮度のよいカツオを塩で食べる塩たたきも広まっています。

特徴

家庭では「焼き切り」と呼ばれる方法が一般的で、節の表面をさっとあぶり、塩でたたいてから切り身にします。焼きすぎれば焼き魚になり、焼きが足りなければ生臭さが残るため、火加減が肝心です。藁焼きは強い火力で表面を瞬時に焼き、藁の香ばしさを移す方法です。スライスしたにんにくは欠かせず、ねぎや大葉、みょうがなどを添えます。春の「初がつお」は香りがよく、秋の「戻りがつお」は脂がのっているとされます。

主な食材

カツオ塩醤油酢(醸造酢・柚子酢など)にんにくねぎ・玉ねぎ大葉・みょうが・しょうが藁(あぶるための燃料)

食文化

高知県はカツオの一世帯当たり消費量が群を抜いて日本一とされます。合わせ酢は地域で異なり、中央部は醤油と醸造酢、西部は醤油にみりんなどを合わせたもの、東部は醤油と柚子酢、山間部は三杯酢が使われるといいます。ひと切れをひと口で食べるのが高知流とされます。

家庭料理との違い

家庭では、コンロの火などで節の表面をあぶる「焼き切り」が一般的です。専門店では藁を燃やした高温の炎で一気に表面を焼き上げ、藁特有の香ばしさをまとわせます。客の目の前で藁焼きを実演し、焼きたてを塩たたきで出す店もあります。

有名店

藁焼き鰹たたき 明神丸 ひろめ市場店

高知県高知市帯屋町2-3-1 ひろめ市場内

約60店が集まる屋台村「ひろめ市場」にある人気店です。一本釣りのカツオを店頭で藁焼きにし、天日塩と薬味で食べる塩たたきを勧めています。旅行ガイドでは、厚切りの塩たたきをご飯にのせた塩たたき丼(みそ汁付き)が1,000円と紹介されています。大型連休には長い行列ができます。価格は変わることがあります。

明神丸 本店

高知県高知市本町1-1-2

明神水産から直送されるカツオを、店内で藁焼きにする本店です。約1000度に達する強い火力で、表面を瞬時に焼き上げると紹介されています。営業は17時からで、定休日は月曜(5月・8月・年末年始は営業)、予算の目安は4,000円からとされています。

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黒潮工房

高知県高岡郡中土佐町久礼8009-11

海を見下ろす高台にある店で、予約制でカツオの藁焼きたたき作りを体験できます。旅行ガイドでは、初級コースが800円から(1組あたり、カツオ1節3,000円から)、カツオのタタキ定食が1,080円と紹介されています。営業は10時30分〜14時30分で、毎月第2木曜が休みです。

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田中鮮魚店(久礼大正町市場)

高知県高岡郡中土佐町久礼6382 大正町市場内

明治の中ごろに漁師の妻たちが小魚を売り始めたことに始まる、久礼大正町市場の鮮魚店です。カツオソムリエの店主が、身質を見て焼き具合を加減したタタキを出します。好きなおかずを選ぶ久礼丼は1,250円と紹介されています。市場では毎年5月に「かつお祭」も開かれます。

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かつお船(土佐タタキ道場)

高知県高知市仁井田201-2

桂浜から車で5分ほどの店で、「土佐タタキ道場」ではカツオの藁焼きたたき作りを体験できます。串に刺したカツオを受け取り、自分で藁の炎にかざして焼き、その場で味わいます。受付は10時30分〜15時と紹介されています。料金は事前に確認してください。

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よくある質問

Q. 「たたき」という名前は、何をたたくことから来ているのですか?

A. あぶって切ったカツオに塩やたれを振り、手や包丁の腹でたたいて味をなじませる動作に由来するとされます。高知市の資料では、魚を焼いて刺身にする習慣は鹿児島や和歌山、千葉にもあるものの、塩やたれを振ってたたくのは高知県だけと紹介されています。

Q. 塩たたきとは、どのような食べ方ですか?

A. たれを使わず、焼いたカツオに塩を振って食べる方法です。農林水産省の資料によると、足摺半島には今も塩たたきの伝承が残っています。鮮度のよいカツオが手に入りやすくなり、近年は高知市内の店でも塩たたきを勧めるところが増えています。

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