牡蠣の土手鍋

Kaki no Dotenabe (Oyster and Miso Hot Pot)

牡蠣の土手鍋 1

画像: Wikimedia Commons

牡蠣の土手鍋(かきのどてなべ)は、広島県を代表する冬の鍋料理です。土鍋の内側の縁に味噌を土手のように厚く塗り、だしを張ってかきや白菜、豆腐、春菊などを煮ます。煮えるにつれて味噌の土手を少しずつ崩し、自分好みの濃さに味を調えながら食べるのが特徴です。味噌は甘めの白味噌が使われることが多く、数種類の味噌を合わせる店もあります。広島県はかき養殖の長い歴史をもち、全国の生産量の5〜6割を占める日本一のかきの産地です。土手鍋は、そのかきを家庭や料理店で味わう定番の料理として親しまれてきました。西の三大鍋の一つともいわれ、2023年度には文化庁の「100年フード」(伝統の100年フード部門)に認定されました。

発祥

広島湾のかき養殖は、室町時代末期の天文年間(1532〜1555年)に始まったと伝えられ、広島市は450年以上の歴史があるとしています。広島県の資料では、江戸時代初期に養殖法が開発されたという言い伝えも紹介されています。古くから身近だったかきを味噌で煮る料理として、土手鍋は広島に根付きました。名前の由来には諸説あり、決め手となる記録は見つかっていません。

歴史

江戸時代初期には、養殖業者が船でかきを大阪へ運び、直接売るようになりました。江戸時代中期には、船上に座敷を設けてかき料理を出すようになり、これが「かき船」の始まりとされます。明治時代には、各地の沿岸に係留された水上料理店として数百隻にのぼったといわれます。昭和20年頃には筏から吊るす垂下式の養殖が広まり、生産量が大きく伸びました。

特徴

鍋の内側に味噌を塗って土手を作り、中央にだしを張って具を煮ます。具はかきのほか、白菜、豆腐、春菊、ねぎ、えのきなどが一般的です。煮汁に溶け出す味噌の量で味の濃さを調節でき、食べ進むにつれて味が濃くなる変化も楽しめます。かきは煮すぎると身が縮んで硬くなるため、ふっくらしたところで食べるのがよいとされます。

主な食材

かき(むき身)味噌(白味噌など)白菜豆腐春菊ねぎだし

食文化

かきの旬を迎える冬には、家庭でも土手鍋を囲みます。広島の味噌メーカーは、数種類の味噌を合わせた土手鍋用の味噌を秋から冬にかけて販売しており、家庭でも手軽に作れるようになっています。

有名店

かき船かなわ 瀬戸

広島県広島市中区大手町1丁目地先

平和記念公園の対岸、元安川に浮かぶかき船の料理店です。運営するかなわは、1867年(慶応3年)に始めたかき養殖を起源とし、1963年にこの店を開きました。土手鍋を含む「かきづくしコース」は、公式サイトで税込9,900円と案内されています。

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酔心 本店

広島県広島市中区立町6-7

1950年創業とされる広島の郷土料理の店で、広島県産のかきを使ったかき釜めしが名物です。かきを一年中用意しているとされ、口コミサイトでは、かき釜めしと土手鍋を組み合わせた定食も紹介されています。定休日は時期により変わるため、事前に確認すると安心です。

かきの土手鍋の素(ますやみそ)呉市の味噌メーカー、ますやみそが広島の老舗かき料理店と共同開発した土手鍋用の味噌である。家庭用の鍋の素として全国で初めて発売された商品とされる。広島市の案内では250gで354円(税込)とされ、広島駅や広島空港の売店などで買える。購入先を見る →PR
かきの土手鍋の素(新庄みそ)広島市の新庄みそが9月〜2月に販売する季節限定の土手鍋の素である。3種類の味噌をブレンドし、広島産のかきのエキスを加えている。広島市の案内では150gで302円(税込)とされ、市内の百貨店や主要スーパー、広島駅などで扱われている。購入先を見る →PR

よくある質問

Q. 「土手鍋」という名前の由来は何ですか?

A. 鍋の縁に味噌を土手のように塗ることから、という説がよく知られています。ほかに、江戸時代にかき船が橋のたもとの土手下でかき鍋を出していたことに由来する、という説もあります。文化庁の「100年フード」の紹介でも両方の説が挙げられており、どちらとも定まっていません。

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