じゃこ天

Jakoten (Fried Whole-Fish Cakes of Uwajima and Yawatahama)

じゃこ天 1

画像: Wikimedia Commons

じゃこ天は、愛媛県南予地方の宇和島市や八幡浜市(やわたはまし)を中心に作られている練り物です。ホタルジャコ(地元では「はらんぼ」)などの小魚の頭と内臓を除き、骨や皮ごとすりつぶして小判形に整え、油で揚げます。骨や皮まで使うため魚のうまみが詰まり、カルシウムも豊富とされます。宇和島では魚のすり身の揚げ物を「天ぷら」と呼び、皮や骨ごと使うものを「皮天ぷら」と呼んで区別してきました。起源は、宇和島藩初代藩主の伊達秀宗が仙台から蒲鉾(かまぼこ)職人を連れてきたことにあるという説が知られています。揚げたてをそのまま食べるほか、あぶって大根おろしやしょうがを添えたり、おでんやうどん、カレーの具にしたりと、南予の日々の食卓に欠かせない存在です。宇和島市や八幡浜市には、じゃこ天作りを体験できる蒲鉾店もあります。

発祥

農林水産省の資料によると、始まりは宇和島藩史に記されているといわれます。1615年(元和元年)に宇和島藩初代藩主の伊達秀宗が故郷をしのび、仙台から蒲鉾職人を連れてきて作らせたというものです。秀宗は伊達政宗の長男です。一方で、魚がよくとれる宇和島では、秀宗の入城以前から蒲鉾が作られていたという説もあります。

歴史

じゃこ天は、もともと宇和海沿いの家庭の味で、雑魚をおいしく食べるための料理として「天ぷら」と呼ばれていました。やがて魚屋や蒲鉾店でも作られるようになり、骨と皮ごと使うものを「皮天ぷら」、身だけのものを「身天ぷら」と区別しました。県外へ売り込む際に「じゃこ天」の名が付けられたとされます。宇和島市の蒲鉾協同組合は、じゃこ天が買える店のマップを公開するなどして普及に努めています。

特徴

原料の中心は、宇和海でとれる体長10cmほどのホタルジャコです。のどの奥が黒い白身の魚で、腹から尾にかけて青白く光ることからこの名があります。宇和島の安岡蒲鉾では、ホタルジャコにアジやグチなどの近海の小魚を合わせ、一匹ずつ手作業でさばき、石臼で練り上げて菜種油で揚げています。エソの皮やアジの身を使うレシピもあり、魚の配合によって味わいが変わります。

主な食材

ホタルジャコ(はらんぼ)エソ・アジ・グチなどの小魚塩卵小麦粉揚げ油(菜種油など)

食文化

南予では、じゃこ天はおかずや酒の肴として一年中食べられています。宇和島市のおでんには、ほぼ必ずじゃこ天が入るといわれます。肉の代わりにじゃこ天を使う「天ぷらカレー」は産地の家庭料理としておなじみで、パン粉を付けて揚げた「じゃこカツ」も作られています。

有名店

安岡蒲鉾 本社・工場

愛媛県宇和島市三間町中野中293

1952年(昭和27年)創業の蒲鉾店で、工場の製造ラインは無料で見学できます。予約制のじゃこ天手作り体験もあり、公式サイトでは大人1,500円、小学生以下1,000円で、2名から受け付けると案内されています。道の駅みまの店舗やJR松山駅、松山空港でも販売しています。

詳細を見る →

谷本蒲鉾店

愛媛県八幡浜市駅前1

1916年(大正5年)創業とされる八幡浜の老舗蒲鉾店です。JR八幡浜駅近くの製造工場「できるん」では、じゃこ天2枚と竹付きちくわ1本を作る体験があり、大人1,100円、中学生以下880円で、5名から受け付けると紹介されています。松山市の道後温泉本館前には道後店もあります。

詳細を見る →

道の駅 みなとオアシスうわじま きさいや広場

愛媛県宇和島市弁天町1-318-16

宇和島港の近くにある道の駅で、揚げたてのじゃこ天を販売していると紹介されています。宇和島鯛めしなどを味わえるフードコートもあり、宇和島の郷土料理店「かどや」も2009年から出店しています。JR宇和島駅から歩いて15分ほどです。

じゃこ天・かまぼこの詰め合わせ安岡蒲鉾は、JR松山駅構内の「だんだん通り」や松山空港2階の売店でも、じゃこ天やかまぼこ、ちくわの詰め合わせを販売しています。松山を発つ前にも、宇和島のじゃこ天を土産として買い求めることができます。

よくある質問

Q. 「じゃこ天」という名前は、どこから来たのですか?

A. 底引き網でとれたいろいろな雑魚(ざこ)で作られていたため「ざこ天」と呼ばれ、それが変化して「じゃこ天」になったという説があります。原料のホタルジャコ(はらんぼ)にちなむという説もあり、はっきりしていません。

Q. 原料のホタルジャコは、どのようにとられているのですか?

A. 安岡蒲鉾によると、宇和島ではホタルジャコを専門にとる漁師が「ぶり網」という漁法で漁獲しています。「ぶり」は網に付ける浮木のことで、魚のブリではありません。宇和島以外では、主に底引き網で水揚げされるとされます。鮮魚店に並ぶことはほとんどない魚です。

#じゃこ天#練り物#ホタルジャコ#はらんぼ#宇和島市#八幡浜市#伊達秀宗#じゃこ天作り体験