
出雲そばは、島根県東部の出雲地方で食べられてきたそばです。岩手のわんこそば、長野の戸隠そばと並ぶ「日本三大そば」の一つに数えられます。そばの実を甘皮ごと石臼で挽く「挽きぐるみ」の製法で打つため、麺は黒っぽい色をしており、香りと風味が強いのが特徴です。代表的な食べ方は二つあります。一つは、丸い漆器の「割子(わりご)」を重ねて冷たいそばを盛り、つゆを直接かけて食べる割子そばです。もう一つは、ゆでたそばをゆで湯ごと器に入れ、つゆや薬味を加えて食べる温かい釜揚げそばです。江戸時代初期、松平直政が信濃国松本藩から松江藩へ移った際に、そば職人を伴ったことが始まりとする説が広く知られています。出雲大社の門前や松江の城下町には、江戸時代から続く老舗を含む多くのそば店が並んでいます。
発祥
出雲地方では、やせた山の畑でも育つそばが古くから作られ、奥出雲では平安時代から食べられていたともいわれます。現在の出雲そばにつながる、麺の形のそば(そば切り)は江戸時代初期に伝わったとされます。寛永15年(1638年)、信濃国松本藩主だった松平直政が、徳川家光の命で出雲国松江藩へ移る際に、松本からそば職人を連れてきたという説が広く知られています。
歴史
江戸時代には松江藩がそば食を奨励し、出雲にそば文化が広まったとされます。割子そばは江戸時代に松江の城下町で、釜揚げそばは出雲大社の周辺で生まれたといわれます。釜揚げそばは、旧暦10月の神在祭の頃に、屋台で新そばを温かいまま出したのが始まりとされます。屋台ではそばを水で洗えなかったためです。2022年3月、出雲そばは文化庁の「100年フード」(伝統の100年フード部門)に認定されました。
特徴
そばの実を甘皮ごと挽く挽きぐるみのため、色が濃く、香りやコシが強くなります。農林水産省の資料では、つなぎの小麦粉は2割程度と少なめとされます。割子そばは、3段ほどに重ねた朱塗りの丸い割子にそばを盛り、薬味をのせてつゆを直接かけて食べます。ゆでた後に冷水で洗うことから「洗い」とも呼ばれます。釜揚げそばは、そばを洗わずにとろみのあるそば湯ごと器に盛り、つゆと薬味で好みの味に整えます。
主な食材
食文化
割子そばは、一段ずつ薬味とつゆを加えながら食べ進めるのが出雲流です。出雲市と松江市のそば店の組合は、松平直政が松江藩へ移る命を受けた2月11日を「出雲そばの日」としており、2022年に日本記念日協会に認定・登録されました。
有名店
出雲そば 荒木屋
島根県出雲市大社町杵築東409-2
天明年間(1780年代)創業と紹介される、出雲大社近くの老舗です。出雲産を中心とする国産そばを使います。朱塗りの割子に盛る割子そばは、公式サイトで1,080円と案内されています。釜揚げそばや鴨南蛮のほか、特製そばぜんざいもあります。
詳細を見る →献上そば 羽根屋 本店
島根県出雲市今市町549
江戸末期創業の手打ちそばの店で、JR出雲市駅から歩いて10分ほどです。大正天皇の山陰行幸の際にそばを献上したことが店名の由来とされます。旅行情報サイトでは、3段の割子そばが900円程度、三色割子が1,050円程度と紹介されています。
八雲庵
島根県松江市北堀町308
松江城の堀端、武家屋敷が並ぶ通りにある出雲そばの店です。庭を眺めながら食事ができ、割子そばのほか、温かい鴨南蛮も名物として知られます。そばがなくなり次第閉店とされています。
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よくある質問
Q. 「割子」とはどういう意味ですか?
A. 割子はもともと弁当箱のことで、出雲そばでは丸い漆器の器を指します。江戸時代の松江では、そばを四角い箱に入れて持ち歩いていました。四角い箱は隅が洗いにくいため、しだいに丸い形になったといわれます。