1 / 2タルトは、愛媛県松山市を代表する菓子で、やわらかなカステラ生地で柚子(ゆず)入りのこしあんを巻いた、ロールケーキのような形をしています。切り口のあんの渦が「の」の字に見えるのが特徴です。1647年(正保4年)、初代松山藩主の松平定行が長崎で南蛮菓子のタルトに出会い、製法を松山に持ち帰ったのが始まりとされます。長崎で食べたのはジャムを巻いたものでしたが、あん入りは定行が独自に考えたものと考えられています。製法は久松家の家伝となり、明治以降に松山の菓子店へ広まりました。現在は松山市だけでなく県内各地の多くの店で作られ、一六本舗や六時屋、ハタダなどがそれぞれのタルトを販売しています。季節によって桜や甘夏、栗などを使う商品もあり、茶菓子や土産、贈答品として親しまれています。
発祥
一六本舗の資料によると、長崎探題を兼ねていた松平定行は、1647年(正保4年)にポルトガル船2隻が長崎に入港した知らせを受け、海上警備にあたりました。このとき南蛮菓子のタルトを味わい、製法を松山へ持ち帰ったとされます。名前は、ケーキを意味するオランダ語「taart」や、ポルトガル語「torta」に由来するという説があります。
歴史
長崎のタルトはカステラでジャムを巻いたもので、現在のあん入りは定行の考案とされ、四国特産の柚子を加えて和の味に仕立てたともいわれます。製法は久松家の家伝として守られ、明治以降に松山の菓子司へ伝わりました。1883年(明治16年)創業の一六本舗をはじめ多くの店が作るようになり、四国を代表する銘菓に育ちました。
特徴
卵と小麦粉で焼いたカステラ生地で、柚子の香りをつけたこしあんを巻き上げ、切り分けて食べます。断面の「の」の字の渦巻きが見た目の特徴です。あんの味は店によって異なり、栗を入れたものや、季節限定の桜や甘夏のあんもあります。職人が1本ずつ手で巻き上げる店もあります。1本のまま売るほか、切り分けて個包装にした商品も多く出回っています。
主な食材
食文化
年間を通して食べられ、来客時の茶菓子や土産、贈答品として親しまれています。江戸時代から伝わるタルトは、現在では松山市だけでなく愛媛県全域に定着しており、全国の百貨店や一部のサービスエリアでも買うことができます。
有名店
一六本舗 勝山本店
愛媛県松山市勝山町2丁目8-1
1883年(明治16年)創業の菓子舗で、店名は創業年にちなみます。看板の「一六タルト」は、愛媛県産の柚子を使ったこしあんをやわらかな生地で巻いています。道後温泉本館前や大街道、今治市などにも店があります。
詳細を見る →六時屋 道後店
愛媛県松山市道後湯之町14-22
1933年(昭和8年)創業のタルトの老舗です。店名は時計の針がまっすぐになる6時にちなみ、まっすぐ正直な商売への思いが込められているとされます。北海道産小豆の自家製あんを職人が1本ずつ巻き、2021年の記事ではタルト(小)1本が756円と紹介されていました。
ハタダお菓子館
愛媛県東温市牛渕1008-1
新居浜市に本社を置く菓子メーカー、ハタダの施設です。看板商品の栗タルトの製造ラインを、ガラス越しに無料で見学できます。生地で栗あんを自分で巻く「栗タルト道場」は1,200円で、事前予約が必要と紹介されています。
よくある質問
Q. 洋菓子のタルトとは違うのですか?
A. 松山のタルトは、カステラ生地であんを巻いたロールケーキ状の菓子で、パイ生地などの器に詰め物をする洋菓子のタルトとは形が異なります。名前はケーキを意味するオランダ語「taart」や、ポルトガル語「torta」に由来するとされます。