いただきは、大きな三角形の油揚げに生の米と野菜を詰め、だし汁でじっくり炊き上げる鳥取県西部の郷土料理です。弓ヶ浜(ゆみがはま)半島を中心に、米子市や境港市などで親しまれ、「ののこめし」とも呼ばれます。見た目は大きないなりずしに似ていますが、生米を油揚げごと炊く点が異なります。言い伝えでは明治中期ごろ、境港市の寺の住職が福井県の寺で精進料理の油揚げを気に入り、米や野菜を詰めて炊いたのが始まりとされます。米が貴重だった時代に、少ない米でも満腹になるよう具材を多く入れて工夫された料理です。特別な行事の日に各家庭で作られ、近所にも振る舞われました。味付けは家庭ごとに異なり、境港市は塩辛め、米子市は甘辛い傾向があるといわれます。令和3年度には、文化庁の「100年フード」の近代の100年フード部門に認定されました。
発祥
いただきの起こりについては、明治中期ごろの言い伝えがあります。境港市の寺の住職が福井県の寺と行き来するなかで、精進料理として出された油揚げを気に入りました。それを持ち帰り、米や野菜を詰めて炊いたのが始まりとされます。一方で、江戸時代から食べられてきたと紹介する資料もあり、始まりの時期ははっきりしません。米が貴重だった時代に、少しの米でも満腹になるよう工夫された料理と伝えられています。
歴史
昔は特別な行事のときに各家庭で作られ、近所の人にも振る舞われました。冷めてもおいしいため、漁師や農家の人がお弁当に持って行ったともいわれます。昭和30年代から40年代の境港市では、赤貝を入れて赤貝の煮汁で炊くものもあったそうです。核家族化などで家庭の食卓から消えつつありましたが、市民団体「米子いただきがいな隊」がご当地グルメとしてのPRや親子料理教室に取り組んできました。令和3年度には文化庁の「100年フード」に認定されています。
特徴
三角形の大きな油揚げの一辺に切れ目を入れて袋にし、生米とささがきごぼう、人参、干ししいたけなどを混ぜて詰めます。口をつま楊枝で留めて箸で穴をあけ、昆布と煮干しのだし、醤油、砂糖などで炊き上げます。生米が油揚げの中でだしを吸ってふくらみ、もちもちとした炊き込みご飯になります。鶏肉を入れる家庭もあり、具材や味付けは家ごとに違います。
主な食材
食文化
いただきは、作り方や味付けが親から子へ受け継がれてきた「おふくろの味」です。現在は市民団体の働きかけで、スーパーマーケットでの販売や居酒屋のメニューへの掲載が広がり、米子城に関わるイベントなどでも普及の取り組みが行われています。
有名店
手打ちそば 昌庵
鳥取県米子市彦名町4123-3
米子市彦名町の手打ちそば店で、米子の郷土料理としていただきを出しています。昆布といりこのだしで炊いたいただきは2個420円程度です(2025年3月時点の紹介)。境港産の白いかのかき揚げを添えたそばも人気です。
| こめや産業「いただき(ののこめし)」 | 境港市外江町(とのえちょう)のこめや産業が作る、いただき(ののこめし)です。三角の大きな油揚げに米と野菜を詰め、だし汁で炊き込んでいます。冷凍で流通しており、公式サイトの通販のほか、境港市のふるさと納税の返礼品にもなっています。購入先を見る →PR |
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よくある質問
Q. 「いただき」という名前の由来は何ですか?
A. 諸説あります。米が貴重だった時代のごちそうを、「もらう」ではなく「頂く」という感謝の気持ちから名付けたという説があります。また、形が秀峰・大山(だいせん)の山頂(いただき)に似ているからという説も知られています。
Q. 別名の「ののこめし」はどういう意味ですか?
A. 綿入れの着物を指す「布子(ぬのこ)」がなまって「ののこ」になったといわれます。米を詰めて炊いた油揚げが、綿入れのようにふっくらしていることからの名とされます。いただき、ののこめしのどちらの名でも呼ばれています。
Q. いなりずしとは何が違いますか?
A. いなりずしは、味付けした油揚げに炊いた酢飯を詰めて作ります。いただきは、生の米と野菜を油揚げに詰めてから、だし汁で油揚げごと炊き上げます。見た目は似ていても、作り方も味わいも異なる料理です。