広島風お好み焼き

Hiroshima-Style Okonomiyaki (Layered Savory Pancake)

広島風お好み焼き 1

画像: Wikimedia Commons

広島風お好み焼きは、広島県で日常的に食べられている粉もの料理です。水で溶いた小麦粉の生地を鉄板に薄く丸く広げ、その上にキャベツやもやし、豚バラ肉などを順に重ねて焼く「重ね焼き」が特徴です。具を生地に混ぜ込んで焼く大阪風とは、作り方が大きく異なります。焼いた中華麺(地元では「そば」と呼びます)やうどんを入れ、薄焼きの卵と合わせて仕上げるのも広島ならではです。最後にとろみのある甘めのお好みソースを塗り、青のりなどをかけます。地元では定番の注文を、豚肉・卵・そば入りの「肉玉そば」と呼びます。お好み焼アカデミーによると、県内には1,600以上、広島市内だけでも約800のお好み焼き店があるとされます。戦後の復興期を支えた食べ物として、今も広島の人々のソウルフードとして親しまれています。

発祥

広島のお好み焼きの前身は、戦前に子どものおやつとして親しまれた「一銭洋食」とされます。水で溶いた小麦粉を薄く焼き、ウスターソースを塗った素朴な軽食でした。原爆で焼け野原となった戦後の広島では、配給の小麦粉を使った一銭洋食の屋台が現れ、食糧難の時代の空腹を満たしました。当初は肉や卵は入らず、生地に野菜をのせて半分に折って焼くものだったといわれます。

歴史

広島県によると、1950年頃には「好きなものを入れて焼く」という意味の「お好み焼」の名が広まりました。キャベツや中華そばが加わり、広島の基本の形が作られていきます。1952年には、広島の調味料メーカー(現在のオタフクソース)が屋台の悩みに応え、とろみのある「お好みソース」を発売しました。戦後に広島市中心部の新天地広場に集まった屋台は、のちに建物に入居して「お好み村」となりました。

特徴

生地と具を混ぜずに重ねるのが最大の特徴です。薄く延ばした生地にたっぷりのキャベツ、もやし、天かす、豚バラ肉などをのせ、裏返して生地をふたにし、野菜を蒸し焼きにします。これを別に炒めたそばやうどんの上に重ね、さらに薄く焼いた卵の上にのせて裏返します。鉄板の上で小さなヘラを使い、格子状に切り分けながら直接食べるのが昔ながらのスタイルです。

主な食材

小麦粉(生地)キャベツもやし天かす豚バラ肉中華麺(そば)またはうどん卵お好みソース青のり・魚粉

食文化

県内には地域ごとの「ご当地焼き」もあります。府中市の備後府中焼きは豚バラ肉の代わりにミンチ肉を使い、三原市の三原焼きは鶏モツを入れます。尾道市因島の「いんおこ」はうどん入りが主流です。これらはいずれも文化庁の「100年フード」に認定されています。

有名店

お好み焼 みっちゃん総本店 八丁堀本店

広島県広島市中区八丁堀6-7 チュリス八丁堀1F

1950年(昭和25年)創業と紹介される老舗で、戦後の屋台から始まりました。「みっちゃん」こと井畝満夫さんの店として知られ、そば入りのお好み焼きの始まりの一つともいわれます。看板メニューは「そば肉玉子」で、市内にはおりづるタワー店などの店舗もあります。

薬研堀 八昌

広島県広島市中区薬研堀10-6

暖簾と軒が青いことから「青八昌」とも呼ばれる店です。市内の多くの店が師弟関係でつながる「八昌系」の起点とされます。一番人気は「そば肉玉」で、焼き上がりまで時間をかけるため待つことも多い店です。グルメサイトでは、定休日は月曜と第1・第3火曜と案内されています。

お好み村

広島県広島市中区新天地5-13

戦後に新天地広場に集まった屋台を起源とする、お好み焼き店の集合ビルです。1992年に現在のビルに建て替えられ、2021年の報道では2〜4階に23店が入っていました。鉄板を囲むカウンターで、店主と話しながら焼きたてを味わえます。

みっちゃん総本店 冷凍広島流お好み焼みっちゃん総本店の人気メニュー「そば肉玉子」を一枚ずつ手作りし、冷凍した商品である。電子レンジで温めて食べられ、特製のソースが付く。広島市の「ザ・広島ブランド」に認定されており、広島駅ekieのおみやげ街道や広島空港などで買える。価格は1,188円(税込)と案内されている。購入先を見る →PR
オタフク お好みソース広島のお好み焼き店とともに育った、とろみと甘みのあるソースである。お好み焼きから流れ落ちにくい粘りをもたせたのが特徴で、広島市の「ザ・広島ブランド」にも認定されている。県内のスーパーなどで広く売られ、家庭で広島風を焼くときに欠かせない。

よくある質問

Q. 「広島焼き」と呼んでもよいですか?

A. 県外では「広島焼き」と呼ばれることがありますが、広島の人は単に「お好み焼」と呼ぶのが一般的です。広島県の公式サイトでも、「広島風」でも「広島焼き」でもない「お好み焼」として紹介されています。地元の店では「お好み焼」と言えば十分に伝わります。

Q. 店名に「〇〇ちゃん」が多いのはなぜですか?

A. 戦争や原爆で夫を亡くした女性が、生計を立てるために店を開いた例が多かったためといわれます。戦地から戻る家族が店を見つけやすいように、という理由もあったとされます。「みっちゃん」「麗ちゃん」など、今も女性の名前のような屋号が多く見られます。

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