浜名湖のうなぎは、静岡県西部の浜名湖周辺で養殖され、浜松市一帯で蒲焼きなどにして味わわれている名物です。浜名湖は日本のうなぎ養殖発祥の地とされます。1900年(明治33年)、東京でうなぎの養殖を研究していた川魚商の服部倉治郎が、浜名湖を適地と見込んで養鰻池を造ったのが始まりと伝わります。周辺では稚魚のシラスウナギがとれ、温暖な気候や豊富な地下水にも恵まれていたことから、一大産地へと発展しました。浜名湖産のうなぎは、脂ののりがよく、柔らかくふっくらとした身が評価されています。2026年(令和8年)7月には「浜名湖うなぎ」が地理的表示(GI)保護制度に登録されました。浜松の市街地や舘山寺(かんざんじ)温泉の周辺には、明治創業の老舗をはじめ、うなぎ料理の店が数多くあります。うな重やうな丼のほか、たれをつけずに焼く白焼きも味わえます。
発祥
1900年(明治33年)、川魚商の服部倉治郎(倉次郎とも表記)が、浜名湖のほとりに約8ヘクタールの養鰻池を造りました。これが浜名湖の養鰻業の始まりとされます。浜名湖では稚魚のシラスウナギがとれ、温暖な気候、池を造りやすい平らな土地、豊富な地下水、えさになる小魚にも恵まれていました。こうした条件が、養殖の発展を支えました。
歴史
養鰻業は明治以降に生産を伸ばしましたが、太平洋戦争中は飼料の統制により一時生産が止まりました。戦後は早くに再開し、産地としての地位を固めました。1971年(昭和46年)には、水温を上げて育てる加温養殖の方法が確立され、成長の促進や病気の減少につながりました。現在の養殖は主にビニールハウスの中で行われ、2026年には「浜名湖うなぎ」が地理的表示(GI)に登録されています。
特徴
うなぎの蒲焼きには、大きく関東風と関西風の焼き方があります。関東風は背開きにして白焼きにした後、蒸してからたれをつけて焼くため、身がふっくらと柔らかく仕上がります。関西風は腹開きにして蒸さずに焼くため、皮がパリッと香ばしくなります。静岡県内では関東風の店が多いとされますが、東西の中間にある浜松では両方の焼き方を味わえます。
主な食材
食文化
浜名湖周辺では、養鰻場で池を管理する池番(いけばん)が、大きく育ちすぎたうなぎとごぼうを甘辛く煮てご飯に混ぜ、まかないとして食べていました。太い杭(ぼっくい)のようなうなぎを使うことから「ぼくめし」と呼ばれ、今では家庭や学校給食でも親しまれる郷土料理になっています。
家庭料理との違い
家庭では、市販の蒲焼きを温めてうな丼にすることが多いです。専門店では生きたうなぎをさばき、備長炭などで焼き上げて、長年継ぎ足してきたたれで仕上げます。白焼きを出す店もあり、焼きたての香ばしさとふっくらした身は専門店ならではの味わいです。
有名店
うなぎ料理 あつみ
静岡県浜松市中央区千歳町70
1907年(明治40年)創業とされる老舗で、浜松の中心市街地にあります。国産の備長炭で焼き上げる関東風の蒲焼きが特徴です。100年以上継ぎ足してきたたれで仕上げ、うな重やうな丼のほか、白焼きの重も味わえます。
うなぎ 八百徳 本店
静岡県浜松市中央区板屋町655
1909年(明治42年)創業とされる店で、名物の「お櫃(ひつ)うなぎ茶漬」を目当てに全国から客が訪れます。蒸しを加えた関東風で、たれを3度つけて焼く濃厚な味わいです。お櫃うなぎ茶漬は4,000円程度〜です。
うなぎ湖畔食房 舘山寺園
静岡県浜松市中央区舘山寺町2229
舘山寺温泉にある浜名湖のほとりの店で、大きな窓やテラス席から湖を眺めながら食事ができます。関東風に焼いた蒲焼きのうな重やうな丼のほか、白焼きや、ひつまぶし風の「うなぎせいろ」も味わえます。
うなぎ 中川屋 本店
静岡県浜松市中央区中野町861-2
1877年(明治10年)創業とされる老舗で、天竜川に近い旧東海道沿いに黒板塀の建物を構えます。天竜川の伏流水でうなぎの臭みを抜き、蒸してから焼き上げる関東風です。創業以来受け継いできたたれで仕上げます。
| うなぎパイ(春華堂) | 浜松市に本社を置く1887年(明治20年)創業の菓子店・春華堂が、1961年(昭和36年)に発売したパイ菓子です。バターなどの原料に、うなぎエキスやガーリックなどの調味料を合わせて焼き上げています。「夜のお菓子」のキャッチフレーズで知られる浜松の定番土産です。 |
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よくある質問
Q. 浜名湖のうなぎは天然ですか?
A. 浜名湖のうなぎとして知られるものは、主に養殖のうなぎです。12月から4月ごろにとれる稚魚のシラスウナギを養殖池に入れ、1年以上かけて育てます。現在の養殖は主にビニールハウスの中で行われ、水温を保ちながら、地下からくみ上げた地下水を使って育てています。