智頭の柿の葉寿司は、鳥取県南東部の山あいにある智頭町(ちづちょう)に伝わる郷土料理です。酢飯の上に薄切りの塩マスとサンショウの実をのせ、柿の葉で包んでなじませます。海から遠い智頭町で、魚を傷ませずに食べるための工夫から生まれたとされます。柿の葉に含まれるタンニンには防腐効果があり、塩マスの傷みを防ぐといわれます。昔は農家の庭に柿の木があることが多く、身近な葉が活用されてきました。盆や祭り、正月、来客のもてなしなど、ハレの日のごちそうとして作られてきた料理です。紅葉した葉で包むと彩りが増し、秋らしい趣になります。家庭で作る機会が減ったため、地元の住民グループが製造や普及に取り組んでいます。サバを使うことが多い奈良県の柿の葉寿司に対し、マスを使うのが智頭の特徴です。
発祥
智頭町は鳥取県の南東部の山あいにある町です。海から遠いこの地域では、魚を傷めずに食べる工夫が欠かせませんでした。柿の葉寿司は、塩マスを柿の葉で包むことで傷みを防ぐ料理として生まれたとされます。農家の庭先に柿の木が多かったことから、先人が葉の効果を知り、暮らしに取り入れていたことがうかがえます。
歴史
家庭で作られる機会が減るなか、1987年に那岐(なぎ)地区の農家を中心とする住民が「那岐特産品開発研究会」を発足させました。きっかけは、1985年のわかとり国体で選手の民泊を受け入れ、土産物づくりをしたことだとされます。研究会は柿の葉寿司やかき餅などを作って販売し、小学生向けの料理教室でレシピも伝えています。柿の葉寿司は「県民が選ぶとっとり旨いもん100」にも選ばれました。
特徴
塩マスは薄切りにし、酢や砂糖、塩を合わせた漬け汁に漬けて味をなじませます。ご飯は昆布と酒を加えて炊き、合わせ酢を手早く混ぜて酢飯にします。酢飯を握ってマスをのせ、サンショウの実を添えて柿の葉で包みます。おひつや寿司桶に詰めて重石をのせ、数時間から一晩ほど置くと、ご飯とマスがなじみます。サンショウの実が風味を引き立て、食欲をそそるとされます。
主な食材
食文化
盆や祭り、正月、来客のもてなしなど、人が集まるハレの日に作られてきた料理です。夏の青い葉だけでなく、秋には紅葉した柿の葉で包むこともあり、季節の彩りを楽しめます。イベントで販売すると、すぐに売り切れるほどの人気があると紹介されています。
有名店
古民家カフェ 和佳
鳥取県八頭郡智頭町市瀬1947(板井原集落)
江戸時代から続く山村、板井原(いたいばら)集落にある古民家カフェで、店名は「のどか」と読みます。2020年に開店し、囲炉裏のある店内で町内の農家の食材を使った料理を出しています。5月下旬から10月中旬ごろは、智頭の伝統食である柿の葉寿司がランチに登場すると紹介されています。
よくある質問
Q. 奈良の柿の葉寿司とはどう違いますか?
A. どちらも酢飯と塩をした魚を柿の葉で包む点は共通しています。奈良県の柿の葉寿司はサバを使うものが多く、吉野川沿いなどで特産品として広まりました。智頭の柿の葉寿司は塩マスを使い、サンショウの実を添えるのが特徴です。