
筑前煮(がめ煮)は、鶏肉とごぼう、れんこん、里芋、にんじん、こんにゃくなどを油で炒めてから出汁でじっくり煮含めた、福岡県を代表する郷土料理です。地元・博多では「がめ煮」と呼ばれるのが一般的で、博多弁で「寄せ集める」を意味する「がめくりこむ」が名前の由来とされます。かつて博多湾でとれたスッポン(どぶがめ)を用いたのが始まりという説もあり、現在の鶏肉料理に定着したのは後年のことです。正月のおせちや祭り、結婚式など祝いの席に欠かせない一品として、家庭ごとの味を受け継ぎながら今も福岡の食卓を彩っています。
発祥
文禄元年(1592年)、豊臣秀吉による文禄の役で朝鮮に出兵した武将たちが、博多湾に多く生息していた「どぶがめ」と呼ばれるスッポンと、手元にあったごぼうや里芋などの野菜を煮込んで食べたのが始まりという説が伝わります。当時は「がめ煮」と呼ばれ、後にスッポンではなく鶏肉を使う調理法が定着しました。
歴史
名前の由来には、博多弁で「寄せ集める」を意味する「がめくりこむ」から転じたとする説や、博多湾に生息したカメ(亀)を「亀煮」と呼んだことに由来するという説など複数あります。福岡県北部がかつて「筑前国」と呼ばれたことから、全国的には「筑前煮」の名でも広く知られるようになりました。
特徴
一口大に切った鶏肉とごぼう、れんこん、里芋、にんじん、しいたけ、こんにゃくなどを一度油で炒めてから、かつお出汁や昆布出汁に醤油・砂糖などを加えた煮汁でじっくり煮含めるのが特徴です。具材を炒めてから煮ることで煮崩れを防ぎ、風味とコクを引き出します。骨付き鶏肉を使うのが本来のがめ煮の流儀とされます。
主な食材
食文化
正月のおせち料理や祭り、運動会、結婚式など、人が集まる祝いの席に欠かせない料理として各家庭で作り継がれてきました。農山漁村の郷土料理百選にも選定されており、博多の年中行事と密接に結びついた料理です。
家庭料理との違い
全国に広まった「筑前煮」は骨なし鶏肉を使い、食材を彩りよく整えて仕上げることが多いのに対し、博多の家庭で作られる「がめ煮」は骨付き鶏肉を使い、大きめに切った具材をごろごろと煮込む素朴な仕上がりが特徴とされます。
よくある質問
Q. 筑前煮とがめ煮は同じ料理ですか?
A. 基本的には同じ煮物料理を指しますが、地元・博多では骨付き鶏肉を使う素朴な「がめ煮」と呼ばれ、全国的には骨なし鶏肉を使い彩りよく整えた「筑前煮」の名で広まっています。呼び方や具材の切り方に地域差があります。