あん餅雑煮

Anmochi Zoni (White Miso New Year Soup with Bean-Paste Rice Cakes)

あん餅雑煮 1

画像: Wikimedia Commons

あん餅雑煮(あんもちぞうに)は、香川県で正月に食べられてきた雑煮です。白味噌(しろみそ)仕立ての汁に、あんこを包んだ丸餅を入れるのが最大の特徴です。具には輪切りの大根や金時人参(きんときにんじん)などを使い、家庭によっては里芋やごぼう、油揚げを入れることもあります。甘いあんと白味噌の塩気が合わさった「甘じょっぱい」味わいで、全国的にも珍しい雑煮として知られています。砂糖が貴重だった時代に、せめて正月だけでも甘いものを味わいたいという願いから生まれたと言われます。香川県内には6種類ほどの雑煮があるとされ、その中でも白味噌とあん餅の組み合わせが最も多いと紹介されています。2025年のアンケート調査では、正月に食べたい香川のご当地グルメの2位に選ばれています。家庭で作る機会が減る中、高松市などでは学校給食にも出され、子どもたちに伝えられています。

発祥

江戸時代、高松藩は砂糖・塩・綿の「讃岐三白(さぬきさんぱく)」の生産に力を入れました。香川では江戸時代に白砂糖の製法が確立されましたが、砂糖は幕府への献上品にもなる高級品で、庶民がふだん口にできるものではありませんでした。そこで、正月だけでも砂糖を味わいたいという思いから、あん入りの餅を雑煮に入れるようになったと言われます。始まりの時期は、江戸時代とする説と、明治初期とする見方があります。

歴史

あん餅雑煮は、香川の家庭で正月の味として受け継がれてきました。1976年に香川県教育委員会がまとめた「香川県民俗地図」にも、県内の雑煮の分布図が載っています。香川県の担当者への取材記事では、満濃町(まんのうちょう)や東かがわ市、小豆島などを除く平野部で主に食べられ、高松市などでは白味噌とあん餅の組み合わせが一般的とされます。高松市の小中学校では給食にも取り入れられ、中学3年生へのアンケートでは汁物部門で毎年1位になると、農林水産省の広報誌で紹介されています。

特徴

だしは煮干し(いりこ)でとることが多く、香川県伊吹島(いぶきじま)産の「伊吹いりこ」が使われることもあります。大根と金時人参は、家族円満の願いを込めて輪切りにするとされます。餅は焼かずに汁で煮てやわらかくするのが一般的で、あんは粒あんが主流と紹介されています。香川の白味噌「サヌキ白みそ」は塩分6%以内の甘口で、あんの甘さとよく合います。仕上げに青のりをふることもあります。

主な食材

あん入りの丸餅白味噌いりこ(煮干し)大根金時人参豆腐青のり

食文化

香川では、正月に家族そろって食べる料理として親しまれてきました。県外から来た人は白味噌とあんこの組み合わせに驚くことが多いと言われます。香川大学では、県外出身の学生に香川の食文化を知ってもらうため、あん餅雑煮を提供する取り組みも行われています。

家庭料理との違い

家庭では、丸餅を汁で煮て、大根や金時人参を輪切りにして作ります。学校給食では、丸餅は溶けやすく大量調理に向かないため、小さなあん入り白玉で代用しています。野菜も配りやすいようにいちょう切りにし、金時人参の細い部分だけを輪切りにして意味を伝えています。

有名店

甘味茶屋 ぶどうの木

香川県高松市百間町2-1

高松市の商店街にある甘味処で、正月料理のあん餅雑煮を一年中食べられる店として紹介されています。かつおだしと白味噌で仕立てた汁に、甘いあんが入った自家製の丸餅を入れています。営業日や時間は変わることがあるため、事前の確認がおすすめです。

よくある質問

Q. あん餅雑煮の餅は焼いてから入れるのですか?

A. 香川県の担当者への取材記事では、餅は焼かずに、そのまま汁で煮てやわらかくするのが一般的とされています。野菜が煮えたところに餅を入れ、やわらかくなってから白味噌を溶き入れます。地域や家庭によって作り方には違いがあります。

Q. なぜ白味噌で仕立てるのですか?

A. 香川では、京都や大阪などの上方(かみがた)の文化が入ってきたことで、雑煮も京風の白味噌仕立てになったという説明があります。香川で作られる味噌の約8割は白味噌とされ、「サヌキ白みそ」は2023年に国の地理的表示(GI)にも登録されました。

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