宇和島牛鬼張り子(うわじまうしおにはりこ)は、愛媛県宇和島市の祭りに登場する牛鬼(うしおに)をかたどった張り子の郷土玩具です。牛鬼は、鬼のような顔と長い首を持つ大きな練り物で、家々の軒先に頭を入れて悪魔払いをします。張り子の牛鬼は魔除けとして家庭に飾られ、祭りの土産としても親しまれてきました。愛媛県の伝統的特産品に指定されています。和紙を型に何枚も張り重ねて作り、ひげには馬の毛を使います。戦後まもなく創業した宇和島市の「よしを民芸店」が作り続け、二代目の宇都宮よしをさんが、張り子の牛鬼を作る唯一のえひめ伝統工芸士と紹介されてきました。ただし、2026年3月に愛媛県が公開した伝統的特産品の問い合わせ先一覧では、宇和島牛鬼張り子は「休業」とされています。
発祥
牛鬼は、宇和島周辺の神社の夏祭りや秋祭りに登場する練り物で、江戸時代ごろの祭礼で悪魔払いのために練り歩いたことが起源とされます。宇和島牛鬼張り子は、この牛鬼をかたどったものです。子どもが胴を頭にのせ、首の竹串で顔を動かして祭りごっこをする玩具もありました。
歴史
よしを民芸店は、先代の善男さんが戦後まもなく創業したとされます。1960年代ごろまでは作れば売れる状況で、職人が5人ほどいました。最盛期には家族総出で作っていましたが、近年は二代目の宇都宮よしをさんが一人で全工程を担ってきました。雑誌で紹介されたことで、全国から注文が集まった時期もあります。近年は、プラスチック製や段ボール製の牛鬼も広まりましたが、宇都宮さんは和紙での製法にこだわってきました。
特徴
紙は愛媛県西予市野村町で漉かれる泉貨紙(せんかし)を使い、主に和紙だけで作ります。牛鬼の角や髪には藁や馬の毛など自然の素材を用います。紙は「裂ける」ことから「避ける」に通じ、魔除けや厄除けにつながると作り手は語っています。完成までには2週間以上かかります。
使用される素材
制作工程
- 1
張り重ね
粘土で作った型に、糊をつけた和紙を何枚も重ねて張ります。和紙は泉貨紙を使い、かつては新聞紙も使っていました。
- 2
型抜き
乾いたら切れ目を入れて、中の型を抜き取ります。この作業は「お産」と呼ばれています。切れ目を接着して形を整え、もう一度乾かします。
- 3
着色・仕上げ
着色し、ラッカーを塗って仕上げます。工程の間ごとに乾燥をはさむため、完成までに2週間以上かかります。牛鬼の角や髪、ひげには藁や馬の毛を付けます。
| 主な産地 |
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職人・工房
よしを民芸店(宇都宮よしを)
宇和島市中央町の民芸店で、二代目の宇都宮よしをさんは小学生のころから父の仕事を手伝ってきました。牛鬼のほか、八ツ鹿踊りの鹿面も作っています。2026年3月時点の愛媛県の資料では、宇和島牛鬼張り子は「休業」とされています。
購入方法
- よしを民芸店(愛媛県宇和島市中央町1-3-3)
- 2021年の記事では、牛鬼張り子の「ブーヤレ」や鹿面(小)が各2,500円(税抜)で紹介され、注文は数か月待ちとされていました。現在は休業と県の資料にあるため、入手できるかは事前の確認が必要です。
よくある質問
Q. 牛鬼はどんな祭りで見られますか?
A. 宇和島市では、毎年7月22日から24日に「うわじま牛鬼まつり」が開かれ、何体もの牛鬼が市内を練り歩きます。祭りの牛鬼は竹で骨組みを作った大きな練り物で、全長は5〜6メートルほどとされます。
Q. 牛鬼と一緒に作られてきた郷土玩具はありますか?
A. 宇和島の祭りでは、牛鬼とともに八ツ鹿踊り(やつしかおどり)が奉納されます。鹿の面をかぶった子どもたちが、胸の太鼓を打ちながら歌い踊るものです。よしを民芸店では、この踊りにちなむ鹿面や「立ち鈴鹿」も作られてきました。