土佐硯

Tosa Suzuri (Tosa Inkstone of Mihara Village)

土佐硯 1

土佐硯(とさすずり)は、高知県西南部の幡多郡三原村(はたぐんみはらむら)で作られている硯です。原石は「三原石(みはらいし)」と呼ばれる青黒い黒色粘板岩で、きめが細かく整っているのが特徴です。書家の間では、墨の下りがよく、墨色が美しく出る硯として評価されています。室町時代、応仁の乱を逃れて京から土佐に下った公卿の一条教房(いちじょうのりふさ)が、良質な硯石を見つけて愛用したと伝わります。その後、石の産地はわからなくなり、「幻の硯石」とされていました。1966年(昭和41年)に書家の新谷健吉が硯石を再発見し、生産が始まりました。現在は村内の三原硯石加工生産組合が製造を担っています。1986年には「銘石 土佐端渓 土佐硯」として商標登録され、高知県の伝統的特産品となっています。

発祥

土佐硯の始まりは、室町時代の応仁の乱の頃にさかのぼると伝わります。応仁2年(1468年)、戦乱を避けて京から土佐へ下った公卿の一条教房が、良質な硯石を見つけて愛用したという記録が残るとされます。ただし、その後は原石がどこにあるのかわからなくなり、長く「幻の硯石」と呼ばれていました。教房の逸話は伝承として語られているもので、詳しい経緯ははっきりしていません。

歴史

1966年(昭和41年)、書家の新谷健吉が三原村で硯石を再発見しました。これをきっかけに硯づくりが始まり、村の地場産業へと発展します。製造は村内の三原硯石加工生産組合が担い、1986年には「銘石 土佐端渓 土佐硯」の名で商標登録されました。「端渓(たんけい)」は中国の名高い硯石の名で、それになぞらえた呼び名です。現在は高知県の伝統的特産品となっています。

特徴

原石の三原石は、四万十帯(しまんとたい)と呼ばれる地質帯から採れる黒色の粘板岩です。高知大学などの研究では、地層の年代は始新世中期から中新世前期と推定され、主な鉱物は白雲母と石英とされています。石の中には「金星(きんぼし)」と呼ばれる銅色の粒が見られ、硯の見た目を引き立てます。硯の表面には微細な段差状の構造があり、墨のすりやすさにつながると考えられています。

技法

鋒鋩(ほうぼう)と発墨

硯の面には「鋒鋩」と呼ばれるごく細かな凹凸があり、これが墨をすりおろす働きをします。土佐硯を精密に切断して観察した研究では、幅と高さが数ミクロンほどの凹凸が確認されました。緻密な石の組織が、細かく密な鋒鋩を生んでいると考えられています。

小判型の彫り

三原硯石加工生産組合では、熟練の職人が原石を伝統的な楕円形の小判型に彫り上げます。原石の美しさを生かした石の蓋を付けた硯もあり、使わないときにも石の表情を楽しめます。

使用される素材

三原石(黒色粘板岩)
主な産地
  • 幡多郡三原村

職人・工房

三原硯石加工生産組合

三原村に工房を構え、村内で採れる三原石から土佐硯を製造している組合です。職人が手彫りする小判型の蓋付き硯のほか、スマートフォンケースに硯と墨、筆を収めた携帯用の硯なども手がけています。

購入方法

通信販売(サライ)
雑誌『サライ』の通信販売では、三原硯石加工生産組合の「小判型蓋つき天然硯」が43,780円、携帯用の「スマホ硯」が30,800円(いずれも税込)で紹介されています。価格は変わることがあります。購入先を見る →PR
三原村のふるさと納税
三原村のふるさと納税では、土佐硯と土佐まき和紙のセット(直径9cmの丸形)が寄附額48,000円で紹介されています。硯単体の返礼品は38,000円で掲載されている例もあります。内容や寄附額は変わることがあります。購入先を見る →PR

よくある質問

Q. 「土佐端渓」とはどういう意味ですか?

A. 端渓は中国で産出する名高い硯石で、良い硯の代名詞とされてきました。土佐硯は1986年に「銘石 土佐端渓 土佐硯」として商標登録されています。土佐の名石であることを、端渓になぞらえて表した呼び名です。

Q. 土佐硯に見られる金色の粒は何ですか?

A. 三原石には「金星」と呼ばれる銅色の粒が含まれ、硯の見た目を引き立てます。2023年に日本地質学会誌で発表された研究では、X線による分析の結果、金星の主な鉱物は銅ではなく黄鉄鉱(おうてっこう)だと報告されました。

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