徳島唐木仏壇(とくしまからきぶつだん)は、徳島県で作られる唐木仏壇です。唐木(からき)とは、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)、鉄刀木(たがやさん)など、主に海外から運ばれてくる堅く美しい木材のことです。金箔や漆で飾る金仏壇とは違い、金箔などの飾りを控えめにして、木目の美しさを生かして仕上げます。徳島は、藩政時代から続く木工の産地です。大阪などの仏壇の製造を請け負うなかで唐木の技術を身につけ、唐木仏壇の一大産地になりました。今では唐木仏壇の出荷額で全国一とされます。2003年に徳島県の伝統的特産品に認定され、2007年には「徳島唐木仏壇」が地域団体商標に登録されました。製作は、木地、彫刻、塗装、組み立てなどを専門の職人が分担して進めます。一基の仏壇の部品は2,000〜3,000点に及ぶといいます。
発祥
徳島の木工は、藩政時代の船大工が端材を使った手仕事に由来するといわれ、明治時代には「安宅物(あたけもの)」の仏壇も作られていました。唐木仏壇の産地となった経緯は、資料によって説明が異なります。静岡市の資料では、昭和になって大阪壇の製造が徳島の木工業者に依頼され、徳島が唐木仏壇の主流になったとされます。一方、大正時代に名古屋の仏具問屋から製造を受けたことをきっかけとする説明もあります。
歴史
唐木仏壇は、江戸時代中期に唐木指物の産地となった大阪で、明治初期に指物師が作り始めたのが発祥とされます。明治に港が開かれると紫檀や黒檀が大量に入り、東京壇と大阪壇が唐木仏壇の中心となりました。徳島はその製造を担って力をつけ、戦後は戦災で仏壇を失った大阪の復興需要も受けて大きく伸びたといいます。1980年ごろには県内に約50の仏壇メーカーがあったとされます。近年は海外製品の輸入が増えて市場が縮み、家具調仏壇や小型の仏壇の開発も進んでいます。
特徴
材料には、黒檀、紫檀、鉄刀木などの唐木のほか、屋久杉、桑、欅、桜などの銘木も使われます。金箔の飾りを控え、木目の美しさを見せるのが唐木仏壇の持ち味です。寺院の建物を小さく再現した宮殿(くうでん)や欄間には、硬くて彫りにくい唐木に細かな彫刻を施します。部材は釘を使わずに組み上げるため、分解して洗い、修理することもできます。引き出しに、湿気や虫に強い桐を使う例もあります。
技法
練り付け(ねりつけ)と無垢
唐木の仏壇は、温度や湿度の変化による反りが課題になります。そこで、芯になる材の表面に唐木の薄板を貼る「練り付け」という技法が使われます。見えない芯材まで木を組み合わせて作るのも、反りを防ぐための工夫です。一方で、芯まで唐木の無垢(むく)材で作る仏壇もあります。
塗装と研磨
塗装は下塗り、中塗り、上塗りを重ね、その都度研磨して平らにし、つやを出します。塗料は製品の等級に応じて、ウレタン、漆、ポリエステルを使い分けます。木目を生かすため、木の表情を残すオープン仕上げを用いることもあります。
木材の乾燥
唐木は温度や湿度の変化で反りやすいため、製材後に数か月から数年かけて乾かします。徳島市の株式会社もがみは、独自の乾燥機で板の含水率をそろえ、組み上げた後のゆがみを防いでいます。
使用される素材
制作工程
- 1
製材・乾燥
部品に合わせて木を製材し、自然乾燥と人工乾燥で含水率を整える。
- 2
木地加工
図面に沿って部材を切り、削る。芯材に唐木を貼る練り付けや木組みで部材を作る。
- 3
彫刻
欄間や障子などの飾りの部分を、職人が手作業で彫る。
- 4
塗装
下塗り、中塗り、上塗りを重ね、塗るたびに研磨してつやを出す。
- 5
組み立て・仕上げ
塗装した部品を仏壇の形に組み、金具を付けて全体を仕上げる。
| 主な産地 |
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職人・工房
株式会社もがみ(仏壇のもがみ)
徳島市津田海岸町6番9号にある唐木仏壇のメーカーである。1978年(昭和53年)に、職人を中心とする約10人で創業した。2,000〜3,000点の部品を、すべて人の手で削り、組み立て、塗装している。40〜50年ごとに仏壇を分解して洗い、修理し、塗り直す手入れも勧めている。
公式サイト →徳島仏壇工房ミヤヂ
板野郡北島町北村鍋井2-17にある仏壇メーカーで、1964年(昭和39年)に創業した。創価学会用の仏壇を専門に作り、黒檀、紫檀、鉄刀木などの唐木を使う。木地の加工から塗装、組み立てまでを自社工場で一貫して行う。塗装したパーツを1週間以上乾かし、研磨を繰り返して鏡のような面に仕上げる。
公式サイト →森正株式会社
板野郡北島町北村字鍋井3-9に本社を置く仏壇・仏具メーカーで、製造から卸、小売までを手がける。50年以上、国内での生産を続けてきたとしている。2008年には、仏壇の技術を生かした小型の祀り用具の開発が、国の地域資源活用事業に認定された。
徳島県唐木仏壇協同組合連合会
徳島の唐木仏壇メーカーの組合5団体でつくる連合会で、事務所は徳島市寺島本町西1丁目5番地にある。「徳島唐木仏壇」の地域団体商標の権利者で、ロゴマークやPR資料を作り、ブランドの発信に取り組む。毎年4月に東京、11月に京都で見本市を開いている。
公式サイト →購入方法
- ぶつだんのもり
- 小松島市江田町に本社を置く仏壇・仏具店で、徳島県内と淡路に店舗を持つ。徳島製の唐木仏壇を「徳島仏壇」として紹介しており、テレビ電話によるショールーム案内やオンラインショップにも対応している。購入先を見る →PR
- 徳島県伝統的特産品マークを目安に
- 徳島唐木仏壇は2003年に徳島県の伝統的特産品に認定された。伝統的な技術や原材料の基準を満たした製品には、認証マークが表示される。全国の仏壇店で徳島製の仏壇を選ぶときの目安になる。購入先を見る →PR
よくある質問
Q. 唐木仏壇と金仏壇はどう違いますか?
A. 金仏壇は、木地に漆を塗り、内部を金箔で飾る仏壇です。唐木仏壇は、黒檀や紫檀などの堅い木を使い、金箔の飾りを控えて木目の美しさを見せます。国の伝統的工芸品の大阪仏壇や広島仏壇は、金仏壇にあたります。
Q. 古くなった唐木仏壇は直せますか?
A. 釘を使わずに組み上げているため、分解して修理できます。徳島市のメーカー、もがみは40〜50年に一度、仏壇を分解して洗い、傷を直して塗り直す手入れを勧めています。