館山唐桟は、細い木綿糸を藍や山桃の樹皮などの植物染料で染め、粋な縞模様に織り上げる木綿織物です。桃山時代にインドから伝わった「唐桟留(とうざんどめ)」と呼ばれる縞織物にルーツを持ち、江戸時代には粋な着物地として庶民に愛されました。館山での生産は明治初期、初代齋藤茂助が東京の授産場で川越唐桟の職人から技術を学び、明治23年に館山へ移り住んで工房を開いたことに始まります。以来、齋藤家一子相伝で技術が守られ、他に継承者を持たない全国でも希少な伝統織物となりました。40〜80番手という極めて細い木綿糸を、職人が舌で濃度を確かめながら染め上げ、高機で丹念に平織りしたのち、木槌で打つ「砧打ち」によって独特の光沢としなやかな風合いを生み出します。現在は4代目齋藤裕司氏が館山市長須賀の工房でただ一人、全工程を守り続けています。
発祥
唐桟織は近世初頭、インドのサントーメ地方からもたらされた木綿の縞織物「唐桟留」を語源とし、略して唐桟と呼ばれるようになりました。江戸時代には粋な柄として町人に人気を博しましたが、館山での生産は明治時代に始まります。初代齋藤茂助が東京・蔵前の授産場で川越唐桟の職人から染織技術を学び、明治23年(1890年)に館山へ移住して工房を構えたのが、館山唐桟の起こりとされています。
歴史
齋藤家では技術が門外不出の一子相伝で受け継がれ、3代目の兄弟が昭和45年(1970年)に揃って千葉県の無形文化財に指定されました。昭和47年には文化庁の「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」に選択され、昭和59年には千葉県指定伝統的工芸品となっています。現在は4代目の齋藤裕司氏が平成20年(2008年)に県指定無形文化財保持者に認定され、館山市長須賀の工房で唯一の継承者として技術を守り続けています。
特徴
最大の特徴は染めにあります。藍や山桃の樹皮、檳榔子、榛の実などの植物染料を用い、職人が秤を使わず染料を口に含んで濃度を舌で判断するため、染色前後は喫煙や刺激物を避けるといいます。40〜80番手という極細の木綿糸を用いた縞模様は繊細でありながら力強く、高機で丹念に平織りしたのち木槌で打つ「砧打ち」を経て、独特の光沢としなやかな風合いを生み出します。
使用される素材
制作工程
- 1
糸染め
藍や山桃の樹皮、檳榔子、榛の実などの植物染料を用い、秤などの計器は使わず、染料をわずかに口に含んで濃度を舌で判断しながら糸を染め上げていく、館山唐桟ならではの技法である。
- 2
製織
染め上げた40〜80番手の極細の木綿糸を高機にかけ、幾筋もの縞模様を見極めながら丹念に手作業で平織りしていく工程である。
- 3
砧打ち
織り上がった反物を木槌で打つ「砧打ち」を施すことで、生地に独特の光沢としなやかな風合いが生まれ、着物地としての品格が増す。
| 主な産地 |
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職人・工房
齋藤裕司(4代目)
初代齋藤茂助が明治23年に館山で開いた工房を継ぐ4代目。館山市長須賀の工房で染めから機織り、仕上げまで全工程を一人で担い、平成20年に千葉県指定無形文化財保持者に認定された。
購入方法
- 齋藤家工房(館山市長須賀)
- 反物のみを扱う工房直販が基本の入手経路で、一般からの問い合わせも受け付けている。人気が高く、注文から仕立て上がりまで2〜3年待つことも珍しくない。