水府提灯は茨城県水戸市に伝わる提灯で、江戸時代の水戸の異称「水府」を冠する。約400年前、財政難に苦しむ水戸藩の下級武士が内職として提灯づくりを始めたのが起源とされ、藩が特産品として奨励したことで発展した。最大の特徴は、輪にした篠竹に糸を一本ずつからめて補強する「一本掛け」という独自の製法で、丈夫で長持ちする提灯に仕上がる。近郊で漉かれる丈夫な和紙「西ノ内紙」を張ることも特徴の一つで、現在も岐阜・八女と並ぶ日本三大提灯産地の一つに数えられている。最盛期には水戸市内に30軒以上あった工房は近年数軒にまで減ったが、蔭山利兵衛商店や青野商店など老舗が伝統技法を今に伝え、祭礼用の提灯から観光客向けの体験まで幅広く手がけている。
発祥
水府提灯の起源は江戸時代初期、水戸藩の財政難を補うため下級武士が内職として提灯づくりを始めたことに遡るとされる。「水府」は江戸時代の水戸の異称で、藩が領内産業として提灯製造を奨励したことから、水戸城下でつくられる提灯は「水府提灯」と呼ばれるようになった。近郊で漉かれる丈夫な和紙「西ノ内紙」や良質な篠竹に恵まれた立地も、産地としての発展を後押しした。
歴史
江戸時代を通じて水府提灯は水戸藩の奨励のもとで発展し、ろうそくの普及とともに武家だけでなく庶民の実用品としても広まった。祭礼用の高張提灯や携帯用の折りたたみ式など多様な種類が作られ、最盛期には水戸市内に30軒以上の製造業者があったと伝えられる。現在は岐阜提灯・八女提灯と並ぶ日本三大提灯産地の一つとされるが、生活様式の変化や後継者不足により工房数は近年数軒にまで減少している。
特徴
最大の特徴は「一本掛け」と呼ばれる独自の製法で、篠竹を輪にして重ねた骨組みの一輪一輪に、螺旋状ではなく一本ずつ糸をからめて補強する。手間はかかるが強度に優れ、丈夫な提灯に仕上がる。張り紙には近郊産の厚手で丈夫な和紙「西ノ内紙」が用いられ、紋や文字は今も職人が手描きで仕上げる。祭礼用の伝統的な形に加え、現代の絵柄を取り入れた製品づくりにも取り組んでいる。
使用される素材
制作工程
- 1
型づくり
篠竹を細く割り、輪の形に曲げて骨組みの土台となる型を作る。提灯の大きさや形に合わせて輪の数と間隔を調整する。
- 2
一本掛け
輪にした竹ひごの一輪ごとに、螺旋状ではなく一本ずつ糸をからめて結び留めていく独自の技法。手間はかかるが、丈夫で型崩れしにくい骨組みに仕上がる。
- 3
紙張り(のり付け)
糊を薄く塗った骨組みに、近郊産の厚手の和紙「西ノ内紙」を一枚ずつ丁寧に貼り重ねていく。
- 4
絵付け
紙が乾いたのち、家紋や文字、図柄を職人が筆で一つひとつ手描きする。用途に応じて祭礼用の紋や現代的な絵柄が描かれる。
- 5
仕上げ
たたんだ状態で形を整え、上下の枠や灯具を取り付けて完成させる。
| 主な産地 |
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職人・工房
購入方法
- 蔭山利兵衛商店(店舗)
- 祭礼用や記念品向けの水府提灯を、伝統の一本掛け技法で一つひとつ手作りする。オーダーメードでの製作にも対応する。購入先を見る →PR
体験施設
蔭山利兵衛商店 提灯づくり体験
茨城県水戸市本町3丁目3-7
型組み・巻き(一本掛け)・のり付け・絵付けの工程を体験できる。3号弓張(魁)コースは3,800円から、所要60〜90分。要予約。
詳細を見る →よくある質問
Q. 「水府提灯」の「水府」とはどういう意味ですか?
A. 「水府」は江戸時代に使われた水戸の異称で、水戸藩の城下町で作られた提灯であることに由来する呼び名です。
Q. 水府提灯はどこで購入・体験できますか?
A. 水戸市内の蔭山利兵衛商店や青野商店などの製造元で購入でき、蔭山利兵衛商店では提灯づくり体験も予約制で行われています。