塩沢紬

Shiozawa Tsumugi

塩沢紬 1

塩沢紬は、新潟県南魚沼市の塩沢地区を中心に織られる絹の先染め織物です。先染めとは、糸を染めてから布に織る方法のことです。塩沢地方では古くから麻織物が織られ、奈良時代の天平年間にこの地で織られた麻布が正倉院に残されています。この麻織物、すなわち越後上布の技術を絹に取り入れ、江戸時代中期の明和年間(1764〜1771年)ごろに生まれたのが塩沢紬と伝えられます。経糸に生糸や玉糸、緯糸に真綿から手で紡いだ糸を使い、手括りや手摺り込みで染めた絣糸を1本1本合わせて織り上げます。蚊絣(かがすり)と呼ばれるごく細かな絣や、十字絣・亀甲絣の繊細な模様が、上品で落ち着いた趣を醸し出します。1975年(昭和50年)2月に経済産業大臣指定の伝統的工芸品となりました。同じ塩沢の産地には「塩沢お召」の名で親しまれてきた本塩沢もあり、こちらは1976年(昭和51年)12月に別の伝統的工芸品として指定されています。

発祥

塩沢地方の織物の歴史は古く、奈良時代の天平年間に当地で織られた麻布が正倉院に保存されています。この地で受け継がれてきた麻織物の技術は、のちに越後上布として知られるようになりました。塩沢紬は、この越後上布の技術を絹織物に取り入れたもので、江戸時代中期の明和年間(1764〜1771年)のころに創られたと伝えられています。精緻な絣模様には、越後上布の伝統技術が生かされています。

歴史

塩沢では麻織物の技術を土台に絹織物の生産が広がり、大正時代には絹織物の生産量が麻織物を上回ったとされます。第二次世界大戦中には贅沢品として生産が制限される時期もありましたが、戦後に技術が受け継がれました。1975年(昭和50年)2月、塩沢紬は国の伝統的工芸品に指定されます。翌1976年12月には、同じ産地の本塩沢も伝統的工芸品に指定されました。

特徴

塩沢紬は先染めの平織りで、経糸に生糸・玉糸、緯糸に真綿手紡糸を用います。手括り・手摺り込みで染めた絣糸を1本1本合わせて織り上げる極細の十字絣や亀甲絣が、独特の上品さと落ち着きを生み出します。布は軽く、さらりとした風合いです。伝統的工芸品の要件として、緯糸の打ち込みには手投杼(てなげひ)を使うこと、絣糸は手括り・手摺り込みまたは板締めで染めることが定められています。

技法

蚊絣・十字絣・亀甲絣

蚊絣はごく細かな点を連ねた絣、十字絣は十字形、亀甲絣は亀の甲羅のような六角形の絣。経糸と緯糸の絣を精密に合わせて表す模様で、越後上布の伝統技術が取り入れられている。

手括り・手摺り込み

絣糸の染色法。手括りは糸の一部を括って染まらない部分を残す方法、手摺り込みは糸の必要な箇所に染料を摺り込んで染める方法。塩沢紬ではこれらや板締めで絣糸を染める。

手投杼による製織

杼(ひ)は緯糸を経糸の間に通すための舟形の道具。塩沢紬では、手で杼を投げ入れて緯糸を打ち込む手投杼を使うことが、伝統的工芸品の要件として定められている。

使用される素材

生糸玉糸(2匹の蚕が一緒に作った玉繭から引いた糸)真綿手紡糸(真綿から手で紡いだ糸)
主な産地
  • 南魚沼市(塩沢地区)

職人・工房

やまだ織

南魚沼市塩沢で大正2年に創業した織元。越後上布の技術を応用した塩沢の絹織物に染めの技術を取り入れ、本塩沢や塩沢絣などを手がけている。

公式サイト →

購入方法

塩沢の織物と体験 織の戸 -Ori no To-
塩沢つむぎ記念館を引き継ぎ、2026年4月から営業している施設。塩沢紬や本塩沢など本場塩沢織の反物や、織物を使った小物を販売しており、オンラインショップもある。購入先を見る →PR
kendenten(新潟県伝統工芸産業振興協議会)
新潟県の伝統工芸品を紹介・販売する協議会のサイト。塩沢織物の生地を使った名刺入れやカード入れ、ペンケースなどの小物をオンラインショップで扱っている。購入先を見る →PR

体験施設

塩沢の織物と体験 織の戸 -Ori no To-

新潟県南魚沼市塩沢1227-14

機織り体験や塩沢織の小物制作体験を実施。塩沢の絣体験(手織り3cm+フレーム付き)は3,300円程度〜。営業は9時〜17時、水曜・年末年始休館。予約は公式サイトから。

詳細を見る →

よくある質問

Q. 塩沢紬と本塩沢はどう違うのですか?

A. どちらも南魚沼市塩沢で織られる絹織物ですが、別々の伝統的工芸品です。塩沢紬は緯糸に真綿手紡糸を使う紬です。本塩沢は「塩沢お召」とも呼ばれ、生糸を使い、緯糸に強い撚りをかけて湯もみでシボを出します。

Q. 本塩沢はいつ頃から織られているのですか?

A. 本塩沢の起源は、寛文年間(1661〜1672年)に堀次郎将俊が強い撚りの糸でシボを出す織物を創案したことにさかのぼるとされます。1976年12月に塩沢紬とは別の伝統的工芸品として指定されました。

Q. 塩沢ではほかにどんな織物が作られていますか?

A. 麻織物の越後上布、絹織物の本塩沢のほか、夏塩沢があります。夏塩沢は玉糸や生糸に強い撚りをかけた糸を経緯に使う盛夏向けの織物で、透け感とシャリ感が特徴です。麻織物が衰えた後、夏物の需要に応えて生まれました。

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