大阪泉州桐箪笥

Osaka Senshu Kiri Tansu (Osaka Senshu Paulownia Chests)

大阪泉州桐箪笥 1

大阪泉州桐箪笥(おおさかせんしゅうきりたんす)は、大阪府南部の泉州地域を中心に作られている桐の箪笥です。主な産地は岸和田市、堺市、和泉市、忠岡町などです。箪笥は大阪で最初に生まれたともいわれ、江戸時代中期には大阪で製造技術が確立していました。その技術が大阪市内から堺を経て和泉へ広がり、泉州に産地が形成されたとされます。厚い桐材を使い、組手(板同士を組み合わせる継ぎ手)が多く、作りと仕上げが丁寧なことから「桐箪笥の最高峰」とも称されます。角を丸く削った「胴丸型」が多く、蒔絵や漆塗りを施した特注品の需要が多いのも特徴です。桐は湿気を防ぎ、熱を通しにくいため、着物などの大切な衣類をしまう家具として重宝されてきました。1989年(平成元年)に国の伝統的工芸品に指定されています。

発祥

泉州では江戸時代中期、農業のかたわら、近所で採れるキハダや桐の木で箱などの簡単な指物を作り始めたといわれます。大阪府は、江戸時代中期には大阪の箪笥の製造技術が確立し、大阪市内から堺を経て和泉に広がったと紹介しています。文政2年(1819年)には農家の副業として桐苗の植え付けが許され、のちに桐箪笥の材料になったとされます。

歴史

江戸時代後期から明治時代にかけて、泉州は桐箪笥の一大産地になりました。材料の桐は、福島県の会津地方を中心に取り寄せられ、近年は北米などからの輸入材も使われています。1986年(昭和61年)に「泉州桐箪笥」が大阪府の伝統工芸品に、1989年に「大阪泉州桐箪笥」が国の伝統的工芸品に指定されました。2007年には地域団体商標にも登録されています。

特徴

天板や側板には厚さ20mm以上の無垢の桐板を使い、正面には木目がまっすぐ通った柾目(まさめ)の板をそろえます。板を継いで1枚の幅広い板に見せる「矧(は)ぎ」の技法により、継ぎ目はほとんど分かりません。組み立てには金属の釘を使わず、ほぞを組み合わせ、ウツギなどの木釘で留めます。仕上げはうづくりで木目を出し、やしゃぶしで着色した後、蝋で磨くのが伝統です。表面を焼いて仕上げる「焼桐」の箪笥も作られています。

技法

矧ぎ加工

木目の流れが合う桐材を選んで横に並べ、接合面を削って糊で接着する。柾目をそろえて継ぐことで、1枚の幅広い板のように見せる。木目を読む目が問われる、職人の腕の見せどころである。

組手加工

天板と側板は9枚組以上の組み接ぎなどで接合し、引出しもあり組み接ぎなどで組む。ほぞを寸分の狂いなく作ることで、組み上げた箪笥はびくともしない。

仕上げ(うづくり・着色・蝋磨き)

うづくりで表面をこすって木目を浮き立たせ、やしゃぶし(ヤシャブシの実を煮出した液)で着色した後、イボタ蝋などで磨く。手あかや汚れが付きにくくなる。工房によっては砥の粉仕上げや焼桐仕上げも選べる。

使用される素材

桐材(会津産や北米産など)ウツギなどの木釘銅・鉄製の金具やしゃぶし(着色)イボタ蝋

制作工程

  1. 1

    造材・乾燥

    年輪の通り具合で柾目と板目を区別して製材し、1年ほど天然乾燥させる。十分に乾かすことで、アクが出るのを防ぐ。

  2. 2

    木取り・歪み直し・矧ぎ

    3〜4枚の板の柾目をそろえて糊で固定する。乾燥で生じた狂いを火であぶって直し、板の接合面を削って矧ぎ合わせる。

  3. 3

    木地造り・本体加工

    板を部品の寸法に切り、引出しの前板や扉の木地を作る。本体正面に柾目材を張って削り、組手のほぞを作る。

  4. 4

    組立・仕上げ

    足や裏板を付けて本体を組み立て、引出しや扉を合わせて仕込む。仕上げ削りの後、着色して蝋を塗り、金具を付けて完成させる。

主な産地
  • 岸和田市
  • 堺市
  • 和泉市
  • 泉北郡忠岡町
  • 東大阪市

職人・工房

初音の家具(田中家具製作所)

岸和田市吉井町にある、大正8年(1919年)創業の桐箪笥の工房。原木から仕上げまで一貫して手がけ、かつて宮内庁に選ばれた実績もあるという。古い桐箪笥を削り直す再生も行い、大阪泉州桐箪笥組合の事務局も置かれている。

留河桐タンス

岸和田市大町にある、大正元年(1912年)創業の桐箪笥メーカー。桐箪笥一筋で、伝統的な技法を用いて原木から仕上げまでを行う。桐の調湿性や防虫性を生かした、新しい生活用品の開発にも取り組んでいる。

購入方法

工房のショールーム
田中家具製作所(初音の家具)のショールームには約50点の製品が並び、その場で購入できる。大阪府の製品紹介では、小袖箪笥が148万円程度から、焼桐仕上げの時代小袖箪笥が138万円程度から(税抜)。納期は注文から約2か月。
ふるさと納税(岸和田市)
岸和田市のふるさと納税では、初音の家具の桐箪笥や焼桐の衣裳箱、古い桐箪笥の再生サービスが返礼品になっている。着物の保管用に、小ぶりな桐箱から選ぶこともできる。

体験施設

田中家具製作所(初音の家具)工房見学・体験

大阪府岸和田市吉井町1-19-8

製造工程の見学(10名程度)のほか、カンナで板を削る体験や桐箱づくりができる。料金は無料で要予約。日曜・祝日は休み。南海本線春木駅から東へ徒歩約7分。大阪府の紹介情報のため、事前に電話(072-443-5691)で確認したい。

辻川家具製作所 工場見学・体験

大阪府泉北郡忠岡町高月北2-18-22

工場見学ができ、カンナで板を削る体験や簡単な塗装も受け付けている。料金は無料で要予約、木曜定休。JR阪和線和泉府中駅から徒歩約15分。

よくある質問

Q. なぜ着物の収納に桐箪笥が向いているのですか?

A. 桐は周りの湿度に応じて湿気を吸ったり吐いたりし、湿気の多い日には膨らんで隙間をふさぐといわれます。熱を通しにくく狂いが少ないうえ、防虫効果のある成分を含むともされます。こうした性質から、湿気や虫を嫌う着物の保管に適しているとされます。

Q. 古くなった桐箪笥は直せますか?

A. 無垢の桐板で作られているため、表面を削り直して再び着色し、新品に近い姿に戻す「洗い替え(削り直し)」ができます。泉州でも、初音の家具などが古い桐箪笥の再生を受け付けています。

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