大阪金剛簾(おおさかこんごうすだれ)は、富田林市・河内長野市・大阪市でつくられる真竹の簾です。かつては金剛山や葛城山のふもとに育つ良質な竹に恵まれ、竹籠づくりのかたわら簾が編まれるようになりました。平安時代の宮中で間仕切りや飾りに使われた御簾(みす)が、現在の座敷簾の原型といわれます。主な製品は、神社仏閣で使われる御簾と、住まいの間仕切りや日よけに用いる座敷簾です。竹ヒゴの自然な節で「くの字」形の模様を描く編み方や、西陣緞子(どんす:光沢のある絹の紋織物)の縁が見どころです。1985年(昭和60年)に「金剛簾」として大阪府の伝統工芸品に指定されました。1996年(平成8年)には「大阪金剛簾」の名で国の伝統的工芸品となっています。大阪府の調査報告によれば、NHK大河ドラマ「篤姫」「江」の撮影で使われた御簾はすべて大阪金剛簾でした。
発祥
簾の起こりは古く、飛鳥・奈良時代にさかのぼるとされます。平安時代には、宮中などで間仕切りや装飾に御簾が用いられました。大阪府は、江戸時代前期の明暦年間(1655〜1658年)に富田林へ竹細工の技術が伝わったのを産地の起源としています。一方、1700年ごろに新堂村(現在の富田林市若松町)へ来た武士が竹細工を伝えたとする説もあります。金剛山麓や石川の河岸に茂る真竹を使い、竹籠づくりのかたわら簾が作られるようになりました。
歴史
富田林市の杉多製簾は、専業として簾づくりを始めたのは天保10年(1839年)だと紹介しています。明治時代に製作道具が改良されると簾づくりはさらに盛んになり、産地が形成されました。簾産業は1960年ごろに全盛期を迎えたとされます。大阪府の調査報告は、京都や名古屋、東京にも製簾業者がある中、大阪だけが工程を一貫して手がけていたことが国指定につながったとみています。原料の竹は宅地化により地元産が使われなくなり、丹波などの真竹に替わっています。
特徴
材料には、竹の水分が最も少ない10月から翌年2月に伐採した真竹を使います。竹の表皮側だけを細いヒゴにし、編み機で1本ずつ、自然な節が「くの字」形の模様を描くように編み上げます。編み糸は絹糸または綿糸と定められています。神社仏閣向けの御簾では、ヒゴを黄色に染めることもあります。編み上がった簾には布の縁を縫い付け、金具や房で飾って仕上げます。大きさは畳の寸法に合わせ、関西間と江戸間で規格が異なります。
使用される素材
制作工程
- 1
伐採・切断
京都・丹波や岡山、島根など中国地方で、水分の最も少ない10月から翌年2月の間に真竹を伐採する。乾燥させたのち、用途に合わせた簾の長さに切断する。
- 2
皮むき・竹割り
弓状に反った小刀で節を削り、皮剥ぎ包丁で上皮を剥ぐ。竹割包丁で丸竹を幅8分(約2.4cm)に荒割りし、さらに4等分してから上皮と身に分ける。
- 3
ヒゴ作り・艶出し
幅4分(約1.2cm)の上皮を簾ごとに選別し、カッター機で細いヒゴにする。神社仏閣向けは黄色に染め、艶出し機にかけて光沢を出す。
- 4
編み上げ
ヒゴを編み機にかけ、1本ずつ編み込む。竹の自然な節がそろうように並べ、「くの字」形の模様を描きながら編み上げる。
- 5
錦の裁断・縁付け
縁に使う西陣緞子の原反を、手ばさみで1分(約3mm)の誤差もなく裁断する。伝統工芸 青山スクエアは、最も難しい工程と紹介している。編み上がった簾の端や中央に縁を縫い付け、金具や房を付けて完成させる。
| 主な産地 |
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職人・工房
杉多製簾株式会社
富田林市の簾メーカー。1700年ごろから農業のかたわら竹簾や竹細工を作り、天保10年(1839年)に簾の専業になったと紹介している。お座敷簾や御翠簾(おみす)、日除け簾のほか、現代の住まいに合うインテリア簾も手がける。
井上スダレ株式会社
河内長野市天野町に本社を置く簾メーカー。竹製・木製の簾や竹製品の製造販売を柱に、簾の塗装技術を応用した樹脂継手部品の製造なども手がける。同じ所在地に「すだれ資料館」がある。
公式サイト →購入方法
- 井上スダレ 公式サイト
- 大阪金剛簾をはじめ、座敷簾や現代の住まいに合わせたインテリア簾などの製品カタログと、購入方法の案内が掲載されている。本社は河内長野市天野町1014-1(電話0721-53-2581)。購入先を見る →PR
- 大阪簾工業協同組合
- 大阪金剛簾の産地組合で、大阪府が問い合わせ先として案内している。所在地は富田林市若松町2-4-25(電話・FAX 0721-26-1190)。製品や製造業者について知りたいときの窓口になる。
体験施設
すだれ資料館
大阪府河内長野市天野町1014-1
伝統的な製法による簾に加え、同じ竹文化圏の中国や韓国に伝わった歴史的な簾の資料や作品を収集・展示している。入館無料で完全予約制。開館は平日10〜16時(入館は15時30分まで)。年数回の「すだれフェア」では製作実演も行われる。
よくある質問
Q. 御簾(みす)と座敷簾はどう違うのですか?
A. 御簾は、平安時代の宮中で間仕切りや飾りに使われた簾で、現在も神社仏閣で用いられています。座敷簾はその流れをくむ室内用の簾で、住まいの間仕切りや日よけに使われます。神社仏閣向けの御簾では、ヒゴを黄色に染めることもあります。
Q. 関西と関東で簾の大きさは違いますか?
A. 大阪府の調査報告によれば、畳の寸法の違いに合わせて、関西間は191×95cm、江戸間は176×88cmといった規格があります。ただし最近は関西でも寸法がまちまちになり、161×80cmなどの小さな規格も混在しているそうです。