奥会津編み組細工は、福島県大沼郡三島町を中心とする奥会津地方の山間部で採れる山ぶどうの蔓・ひろろ・マタタビといった自然素材を用いた編み組み工芸で、国指定の伝統的工芸品です。積雪期の手仕事として受け継がれてきた歴史は古く、三島町の荒屋敷遺跡(縄文時代後期、約2500年前)からは編み組みの痕跡を持つ出土品が見つかっており、縄文の文化を今に伝える工芸ともいわれています。江戸時代の地誌にもヒロロやマタタビ、山ぶどうを用いた籠や笊づくりの記録が残ります。昭和40年代には担い手の減少で存続が危ぶまれましたが、三島町が昭和56年(1981年)から「生活工芸運動」を開始し、工人による指導や展示会を通じて技術の伝承に取り組んできました。手さげ籠や菓子器、炊事用具など、素材ごとに異なる風合いを持つ道具が現在も作り続けられています。
発祥
奥会津編み組細工の歴史は縄文時代までさかのぼるとされ、三島町の荒屋敷遺跡(縄文時代後期、約2500年前)からは縄や編み組みの断片を持つ出土品が発見されています。江戸時代の地誌「会津農書写本」(1748年)には野草の縄で籠を作る記述が、「東遊雑記」(1788年)にはヒロロを材料とした蓑づくりの記述が残されています。
歴史
1807年の「伊南伊北谷四ヶ組風俗帳」には、マタタビの蔓で笊を、山ぶどうの皮で籠を作っていたことが記されており、山の恵みを暮らしの道具に変える技術が奥会津の山間部で連綿と受け継がれてきたことがわかります。昭和40年代には担い手の高齢化・減少で伝承が危ぶまれましたが、三島町は昭和56年(1981年)から「生活工芸運動」を始め、工人による指導や展示会を通じて後継者の育成に取り組んできました。
特徴
山ぶどう・ひろろ・マタタビという性質の異なる3つの素材を使い分ける点が最大の特徴です。山ぶどうは栗の花が咲く6月頃に採取した一枚皮を使い、丈夫で使うほどに飴色の光沢を増す手さげ籠や菓子器に、マタタビは水切れが良くしなやかな笊に、ひろろは繊細な編み目でレース編みのような仕上がりの籠に、それぞれ生かされています。
技法
山ぶどう細工
6月頃に採取した山ぶどうの一枚皮を用いる技法。丈夫で使い込むほどに独特の光沢が生まれ、手さげ籠や菓子器などに使われる。
マタタビ細工
蔓から伸びた1〜3mの枝を素材とする技法。水切れが良くしなやかな笊に仕上げ、編み終えた後は「寒晒し」で強度を高める。
ひろろ細工
ひろろ(山菅の一種)を細く裂いて編む技法。編み目が細かくレース編みのような繊細な仕上がりで、手さげ籠や肩かけ籠に用いられる。
使用される素材
制作工程
- 1
採取
山ぶどうは6月頃、マタタビやひろろはそれぞれ適期に山へ入って採取する。
- 2
下処理
皮をはぎ、幅をそろえて裂くなど、編みやすい状態に素材を整える。
- 3
編み組み
用途に応じた編み方で籠や笊の形を編み上げる。
- 4
仕上げ
縁を巻き留め、マタタビ細工などは寒晒しを行って強度を高める。
| 主な産地 |
|
|---|
職人・工房
三島町生活工芸館 工人
三島町生活工芸館に所属する工人たちが、山ぶどう・ひろろ・マタタビを用いた編み組細工を制作。長年の経験を持つ工人から若手まで、道の駅や工芸館で作品を展示・販売している。
公式サイト →購入方法
- 三島町生活工芸館
- 山ぶどう・マタタビ・ひろろなど国指定伝統的工芸品の奥会津編み組細工を常時展示販売する拠点施設。購入先を見る →PR