小田原ちょうちんは、神奈川県小田原市に伝わる提灯で、江戸時代中ごろに地元の提灯職人・甚左衛門が箱根越えをする旅人のために考案したと伝えられています。通常の提灯と異なり、胴の中骨が一本のリング状に独立しているため、たたむと胴体部分が上下の蓋の中にすっぽりと収まり、懐にしまえるほど小さく携帯できるのが最大の特徴です。竹ひごを四角形に削って糊付け面を増やしているため雨や霧に強く、上下の蓋には大雄山最乗寺の霊木が使われ道中の魔除けになるとも信じられました。これら携帯性・耐久性・魔除けという3つの長所は「三得」として宣伝され、江戸時代には東海道を行き交う旅人の土産物として全国に知られるようになりました。現在は市内で伝統の技法を守る提灯店がわずかに残り、体験教室などを通じて技術の継承が図られています。
発祥
小田原ちょうちんは江戸時代中ごろ、東海道の宿場町であった小田原に住む提灯職人・甚左衛門が考案したと伝えられています。箱根の峠道を越える旅人が携帯しやすいようにと、たたむと胴体部分が上下の蓋の中に収まる構造を編み出したのが始まりとされます。一般的な弓張提灯などと違い、胴の中骨を一本のリング状に作ることで折りたたみを可能にしており、懐に入れて持ち運べることから「懐提灯」とも呼ばれました。
歴史
小田原ちょうちんは、携帯に便利で耐久性が高く、道中の魔除けにもなるという三つの長所を「三得」とする宣伝文句とともに、東海道を行き交う旅人や参勤交代の一行の土産物として江戸時代に全国的な知名度を得ました。以後、小田原の代表的な地場産業として作り継がれてきましたが、生活様式の変化や後継者不足により製作を続ける店は減少しています。現在、主に手がけているのは明治期創業と伝わる山﨑提灯店で、4代目が技術を継承し、5代目となる長男も修行を続けています。
特徴
最大の特徴は、通常の提灯のように蛇腹状に連なる中骨を持たず、一本のリング状の中骨を上下に重ねて胴を作る独自の構造にあります。使わないときは胴が上下の蓋の中にすっぽりと収まるまで折りたためるため、非常にコンパクトに携帯できます。胴に貼る竹ひごは断面を四角形に削ってあり、丸いひごに比べて糊付けの面積が広く取れるため、雨や霧にあたっても紙が剥がれにくく丈夫です。さらに上下の蓋には大雄山最乗寺の霊木が用いられ、道中の魔除けになるとも信じられてきました。
使用される素材
職人・工房
山﨑提灯店
明治期創業と伝わる、現在小田原ちょうちんを主に手がける提灯店。4代続く技術を継承し、小田原ちょうちんのほか祭提灯や看板提灯なども一つひとつ手描きで製作する。注文生産が中心で、納品までは約2か月を要する。
購入方法
- 山﨑提灯店
- 小田原ちょうちんや祭提灯、看板提灯を手描きで製作する専門店。注文生産が基本で、購入には予約が必要。仕上がりまでおよそ2か月を要する。
体験施設
小田原ちょうちん製作体験(小田原宿なりわい交流館)
神奈川県小田原市本町3-6-23
和紙に好きな絵や文字を描き、竹ひごの骨組みに貼り付けて作る体験。所要時間約90分、料金1,500円。毎週日曜10:00〜16:00開催、予約不要(7名以上は要予約)。
詳細を見る →よくある質問
Q. 名前の由来になった「三得」とは何ですか?
A. 携帯に便利なこと、雨や霧に強く丈夫なこと、道中の魔除けになることの三つの長所を指す江戸時代の宣伝文句です。この「三得」により全国的に知られるようになりました。
Q. 現在も購入や体験はできますか?
A. 山﨑提灯店で注文生産の提灯を購入できるほか、小田原宿なりわい交流館では和紙に絵付けをして手作りする製作体験(1,500円、所要約90分)に参加できます。