長崎手打刃物

Nagasaki Uchihamono (Hand-forged Blades of Nagasaki)

長崎手打刃物 1

長崎手打刃物(ながさきうちはもの)は、長崎県の大村市松原、長崎市蚊焼町(かやきまち)、島原市の3つの産地で作られている手打ちの刃物です。1991年(平成3年)に長崎県の伝統的工芸品に指定されました。良質な材料と水、焼刃土(やきばつち:焼入れの際に刃に塗る土)を使い、伝統の技法で丹念に焼き入れをします。切れ味と粘り強さに優れると評価されています。産地ごとに特色があり、約500年の伝統を持つとされる大村市の松原鎌・包丁、長崎市の蚊焼包丁、島原市の農機具類・包丁が知られています。いずれの産地も鍛冶屋の数は減っていますが、親子で技を受け継ぐ工房が残り、鍛冶体験を受け付ける工房もあります。

発祥

大村市の松原刃物は、壇ノ浦の戦いで敗れた平家の刀匠の子孫が松原に住み着き、松原八幡神社の境内で鎌を作ったのが起源と伝えられます。田中鎌工業の資料では、移り住んだのは1474年とされます。蚊焼包丁は江戸時代に始まったとされ、島原の鍛冶屋吉光は1852年(嘉永5年)に深江村で「車鍛冶」として創業したと紹介されています。

歴史

松原は長崎街道の宿場町で、江戸時代には他地域の職人を招いて技を高め、天保期には品質を守る組合もできたとされます。昭和に入ると機械化が進み、最盛期には年14万丁を生産しました。しかし戦後は需要が減り、9軒あった工場は3軒になったと紹介されています。蚊焼町の鍛冶工房も2軒になり、各産地で技の継承が課題となっています。

特徴

長崎県によると、伝統的な技法で丹念に焼き入れされ、切れ味と粘り強さが高く評価されています。軟鉄の間に鋼を挟んで鍛える製法が受け継がれています。蚊焼包丁は、柄に近い刃元が丸くなっているのが特徴の一つとされます。表には蚊焼包丁の証として、「蚊焼」の文字と丸に十の印が刻まれます。

技法

火造り

厚い鋼を炉で熱し、ハンマーで一本ずつ延ばして形を作る昔ながらの製法です。松原の田中鎌工業では炉が1,000度まで上がり、夏場の工房は50度を超えると紹介されています。

焼入れ

800度ほどに熱した刃を一気に水に入れて冷やし、硬さを出す工程です。田中鎌工業の田中勝人さんは、この作業を「包丁に魂を入れる」と表現していると紹介されています。

使用される素材

鋼軟鉄焼刃土

制作工程

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    鍛造

    鋼と軟鉄を合わせた材料を約1,200度の炉で熱し、機械ハンマーで打って延ばします。ハンマーの強さと速さは、足でペダルを踏んで調整します。包丁の背は軽く、中ほどから先は強く打つと紹介されています。

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    成形

    表面にできた赤いさびのような酸化皮膜を機械で取り除き、別のハンマーで叩いてならします。チョークで形を描き、大きな刃物で切断して包丁の形にします。

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    研削

    グラインダーで研いで形を整えます。背と刃先では火花の出方が違い、性質の違う材料を重ねていることが分かると紹介されています。

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    焼入れと仕上げ

    800度ほどの炉で熱した刃を取り出し、一気に水に入れて冷やします。その後、研ぎや柄付けなどの仕上げを施します。

主な産地
  • 大村市松原
  • 長崎市蚊焼町
  • 島原市

職人・工房

田中鎌工業(松原刃物)

大村市松原本町の鍛冶屋で、創業者は田中周市とされ、「SHU」の銘で知られます。四代目の田中勝人さんが息子とともに鍛造を続けています。素材選びから鍛造、研ぎ、柄付けまで手作業で一貫して作ると紹介されています。

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桑原鍛冶工房

長崎市蚊焼町で1923年(大正12年)に創業した鍛冶工房です。三代目と四代目の親子が、出刃、万能、菜切、刺身など多くの種類の蚊焼包丁を、1本ずつ手作りしていると紹介されています。

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山口鍛冶工場

長崎市蚊焼町で60年以上続く鍛冶屋です。2代目の山口良仁さんと息子の大仁さんが、100種類以上の刃物を作っています。包丁作りの技を生かした鉄製のオブジェや看板も手がけると紹介されています。

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鍛冶屋吉光

島原市の老舗の鍛冶屋で、1852年に深江村で車鍛冶として創業したとされます。砂鉄から鉄を作るたたら製鉄の技法を受け継ぎ、包丁のほか農具など約80種類を作ると紹介されています。今の工場は1942年に島原市中心部に建てられました。

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購入方法

田中鎌工業(大村市)
工房で購入でき、見学も事前に電話すれば可能と紹介されています。2020年時点の記事では、ペティナイフが3,000円程度から、万能包丁が5,000円前後からとされています。価格は変わることがあるため、事前に確認してください。購入先を見る →PR
山口鍛冶工場(長崎市蚊焼町)
2021年の記事では、蚊焼包丁は2,400円から35,000円ほどと紹介されています。宣伝はほとんどせず、口コミで客が訪れる店とされます。価格は変わることがあるため、事前に確認してください。購入先を見る →PR
島原市のふるさと納税
島原市のふるさと納税の返礼品として、鍛冶屋吉光の三徳包丁とペティナイフのセットなどが掲載されています。寄付額や取り扱いは時期によって変わります。購入先を見る →PR

体験施設

桑原鍛冶工房

長崎県長崎市蚊焼町1532

職人の指導で刃を炉で熱して叩き、研いで、名入れの刻印まで行う包丁作り体験ができます。2022年の取材時点で1人1本20,000円(税抜)からと紹介されています。対象は小学生以上で、完成品は後日送られます。

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田中鎌工業有限会社

長崎県大村市松原本町371

鍛造から焼入れまでを体験し、職人が仕上げた包丁が約1週間後に届く体験が紹介されています。2018年の掲載時点で1人14,000円、要予約でした。危険防止のため大人が中心とされ、実施状況は事前に確認が必要です。

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よくある質問

Q. 3つの産地の刃物はどう違いますか?

A. 長崎県によると、長崎市は蚊焼包丁、大村市は松原鎌・包丁、島原市は農機具類・包丁が有名です。松原は鎌作りから始まった歴史があり、島原の吉光は農具も多く作っています。

Q. 手打刃物は長く使えますか?

A. 吉光の紹介では、手打刃物は何度も修理しながら、刃がなくなるまで使えるとされています。田中鎌工業の公式サイトでも研ぎ直しの休業日が案内されており、研ぎ直しを受け付けていることがうかがえます。

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