
宮島細工(みやじまざいく)は、広島県廿日市市の宮島(厳島)で作られてきた木工品の総称です。飯をよそう杓子(しゃくし、しゃもじ)、ろくろで木を挽いて形づくる「ろくろ細工」、木をくり抜く刳物(くりもの)、盆や菓子器に彫刻を施す「宮島彫り」などがあります。製品の多くは漆や彩色を控えた木地仕上げで、木目の色合いや手触りを生かしています。日々の暮らしで使う品が多いのも特徴です。宮島は神の島として農耕や機織りが禁じられていたため、島の人々は山仕事に携わり、豊富な木材を生かした細工を発達させてきました。なかでも杓子は宮島を代表する土産物として全国に広まり、生産量は日本一といわれます。1982年(昭和57年)に国の伝統的工芸品に指定されました。宮島桟橋のそばの宮島伝統産業会館では、杓子づくりや宮島彫りを体験できます。
発祥
宮島細工の源流は、鎌倉時代初期に厳島神社などの社寺を建てるため、島に招かれた大工や指物師(さしものし)の技術にあるとされます。最初の細工物は、神事にちなむ縁起物の五色箸や色楊枝だったといわれます。杓子は、寛政年間(1790年頃)に島に住んでいた僧の誓真(せいしん)が、弁財天の持つ琵琶の形から考案し、島の人々に作り方を伝えたとされています。
歴史
宮島彫りは江戸時代後期に、甲州(山梨県)出身の波木井昇斎(はきいしょうさい)によって伝えられたとされます。ろくろ細工の技術も、江戸時代末期の嘉永年間に島へ伝わったといわれます。明治時代に鉄道が開通すると参拝客が増えました。日清・日露戦争の際には、広島に集まった兵士の土産として、宮島細工が全国に知られるようになります。杓子は明治半ば頃から日用品として関西方面へも出荷され、宮島細工は海外へも輸出されました。現在の事業所は小規模な個人事業者が多く、後継者の確保が課題とされています。
特徴
製品の多くは木地仕上げで、加飾には宮島彫りのほか、天然漆で拭き上げる漆拭きや錆色染めが用いられます。杓子は琵琶をかたどったやさしい形で、においがなく、ご飯粒がつきにくいとされます。宮島彫りは、栃(とち)や欅(けやき)、桜などの木目を生かした彫刻です。ろくろで成形した盆や菓子器、刳りの技法で作る角盆などの素地に彫りを施します。
技法
ろくろ細工
原木を選んで製材し、自然乾燥させた木をろくろで回しながら、鉋(かんな)を当てて形を削り出す技法である。漆などの派手な塗りや彩色を施さず、木そのものの持ち味を生かす。使うほどに渋みが増し、味わいが変わっていく。
宮島彫り
盆や菓子器などの木地に、図柄を彫り込んで飾る彫刻の技法である。栃、欅、桜など木目の美しい材を使い、彫りの陰影で模様を浮かび上がらせる。宮島伝統産業会館の体験では、もみじの絵柄を彫った丸盆に色を付けて仕上げる。
使用される素材
制作工程
- 1
木取り
原木を製材し、自然乾燥させて製品に合わせて切り出す。
- 2
木地作り
ろくろで挽く、刳る、削るなどして形を作る。
- 3
仕上げ
表面を磨き、木目や手触りを整える。
- 4
加飾
宮島彫りや漆拭き、錆色染めなどで飾る。
| 主な産地 |
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職人・工房
小林一松堂
宮島の表参道商店街にあるろくろ細工の店で、小林松斎が宮島のロクロ細工を手がける。原料選びから製材、自然乾燥を経て、ろくろで挽いて仕上げる。この「宮島のロクロ細工」は、広島市の「ザ・広島ブランド」に認定されている。
公式サイト →購入方法
- 宮島伝統産業会館(1階)
- 宮島桟橋のすぐそばにある施設で、1階では杓子やろくろ細工、宮島彫りの盆、宮島土鈴などの宮島細工を展示販売している。入館は無料である。購入先を見る →PR
- 杓子の家
- 廿日市市宮島町488にある宮島杓子の製造販売店で、宮島桟橋から歩いて10分ほど。楓(かえで)のミニスプーンや杓子形のストラップ(1個500〜800円程度)を扱い、ストラップの裏には名前を入れてもらえる。水曜休み。購入先を見る →PR
- 小林一松堂
- 廿日市市宮島町表参道商店街470-2にある。広島市の紹介ページでは、ろくろ細工の寿司桶(径30cm)が税込32,000円などと案内されている。購入先を見る →PR
体験施設
宮島伝統産業会館(みやじまん工房)
広島県廿日市市宮島町1165-9
3階で杓子づくり体験(1人550円)と宮島彫り体験(1人2,200円)ができます。杓子づくりは焼き印で鳥居やもみじ、鹿などを押し、宮島彫りは直径15cmの丸盆にもみじを彫って色を付けます。所要45分〜1時間で、事前予約が必要です。体験料は現金払いです。
詳細を見る →よくある質問
Q. 宮島にある巨大な杓子は何ですか?
A. 宮島細工の伝承と島のシンボルとして、1983年(昭和58年)に作られた大杓子です。長さ7.7m、最大幅2.7m、重さ2.5tで、樹齢270年の欅を使い、完成まで2年10か月かかりました。1996年に厳島神社が世界遺産に登録されたのを記念し、表参道商店街に展示されました。