倉吉絣

Kurayoshi Gasuri (Kurayoshi Ikat Textiles)

倉吉絣 1

画像: Wikimedia Commons

倉吉絣(くらよしがすり)は、鳥取県中部の倉吉市で江戸時代末期から織られてきた絣です。花鳥山水や松竹梅、鶴亀などを絵のように織り出す、精巧な絵絣で知られます。鳥取県の資料では、約200年前に稲嶋大助が花鳥山水の絵絣を織り、広めたとされています。明治時代には盛んに織られ、船木・桑田工場が出品した絣は海外の万国博覧会で受賞しました。明治初期には技術が美作地方に伝わり、岡山県の作州絣が生まれたといわれます。その後は機械生産の織物に押されて衰えました。戦後、染織家の吉田たすくが古い伝書を解読し、複雑な風通織(ふうつうおり)をよみがえらせます。現在は倉吉絣保存会が技を受け継ぎ、倉吉ふるさと工芸館で実演や展示販売を行っています。鳥取県知事が指定する鳥取県郷土工芸品の一つです。

発祥

倉吉絣の起源は、江戸時代末期といわれています。鳥取県の資料では、約200年前に稲嶋大助が花鳥山水を表した絵絣を織り、普及させたとされます。倉吉は江戸時代中期から明治にかけて商業で栄えた町です。稲扱千刃(いなこきせんば、稲を脱穀する道具)とともに、倉吉絣が町の名を全国に広めたと紹介されています。

歴史

明治時代には倉吉絣が盛んに織られ、西日本を中心に各地へ売られました。船木・桑田工場から出品した絣は諸外国の万国博覧会で受賞し、名声を博しています。大正時代以降は機械生産に押されて衰え、戦後は複雑な組織織を織れる人も途絶えかけました。昭和30年頃、染織家の吉田たすくが旧家の伝書を手に入れ、試織を重ねて風通織などを復元します。その後、倉吉絣保存会が結成され、技の継承が続いています。

特徴

倉吉絣の大きな特徴は、絵を織り込んだような精巧な絵絣です。鳥取県の資料では、麻の葉、亀甲、山水、松鶴などの模様が挙げられています。糸をあらかじめ括って染め分けた絣糸を使い、手作業で一本一本柄を合わせながら織り上げます。絵絣のほか、多くの綜絖(そうこう、たて糸を上下させる道具)を使う風通織などの組織織も伝わり、「幻の織物」と呼ばれたこともあります。

技法

絵絣

図案に合わせて糸の一部を括って防染し、染め分けた絣糸で模様を織り出す技法である。織りながら一本ずつ柄を合わせることで、花鳥山水や松竹梅などを絵のように表す。柄が複雑なほど高価だったといわれる。

風通織(ふうつうおり)

4枚以上の綜絖を使い、表と裏の糸を入れ替えながら織る二重組織の織物である。倉吉には風通織やそしき織の伝書が伝わっており、吉田たすくが解読と試織を重ねて技法をよみがえらせた。

使用される素材

木綿糸藍
主な産地
  • 倉吉市

職人・工房

倉吉絣保存会

倉吉市東仲町の倉吉ふるさと工芸館内に拠点を置く団体。絣研究家の福井貞子が設立に関わり、会長や顧問として絣の復興と後進の指導に取り組んだ。福井貞子(1987年)と牧幸子(1998年)が鳥取県伝統工芸士に認定されている。

吉田たすく手織工房

倉吉市鍛冶町にある工房。倉吉絣を手ほどきに織りを始めた染織家・吉田祐(たすく)が、風通織・そしき織の伝書を解読して多綜絖の織物を試みた。その技法をもとに綾綴織(あやつづれおり)を制作している。

購入方法

倉吉ふるさと工芸館
倉吉市東仲町2606にある工芸館。倉吉絣保存会が、自作の着尺やのれん、鞄、財布、テーブルセンターなどを展示販売している。営業は9時〜17時で水曜定休。白壁土蔵群の観光とあわせて立ち寄りやすい。

体験施設

倉吉ふるさと工芸館(機織り実演の見学)

鳥取県倉吉市東仲町2606

倉吉絣保存会による機織りの実演を見学できる。鳥取県の工房紹介では体験は不可とされ、見学が中心となる。館内では、鳥取県中部の窯元の陶器や打吹(うつぶき)天女伝説の資料も展示している。

鳥取短期大学 絣美術館

鳥取県倉吉市福庭854

倉吉絣の保存と展示を目的に、1998年に開館した鳥取短期大学構内の美術館。明治から大正にかけての倉吉絣や、海外の絣製品を展示する。入館は無料で、開館は10時〜16時。休館日は事前に確認したい。

よくある質問

Q. 倉吉絣は国の伝統的工芸品ですか?

A. いいえ。倉吉絣は、鳥取県知事が指定する鳥取県郷土工芸品です。同じ鳥取県の絣では、県西部の弓浜絣が国の伝統的工芸品に指定されています。

Q. 岡山県の作州絣と関係がありますか?

A. 明治初期に倉吉絣の技術が美作地方(現在の岡山県北部)へ伝わり、作州絣が生まれたといわれます。作州絣は、倉吉絣の影響を受けて木綿の紺絣として広まりました。

Q. 倉吉絣はどこで見られますか?

A. 倉吉ふるさと工芸館では、倉吉絣保存会の作品の展示販売と機織りの実演を見学できます。鳥取短期大学の絣美術館では、明治から大正の倉吉絣が展示されています。

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