加茂桐簞笥

Kamo Kiri Tansu

加茂桐簞笥 1

加茂桐簞笥は、新潟県加茂市とその周辺で作られる桐材の簞笥です。桐は湿度が高いと膨らんで湿気の侵入を防ぎ、乾燥すると縮んで通気を良くする性質を持ち、衣類の保管に適しています。加茂での簞笥づくりは江戸時代の天明年間(1781〜1789年)に始まり、丸屋小右エ門が大工仕事のかたわら杉材で作ったのが起こりと伝えられます。周辺の山に天然の桐材が豊富だったことから桐簞笥の産地として育ち、加茂川から信濃川を経て、船で新潟や東北方面へ運ばれました。現在も桐簞笥の全国生産量の約7割を占める日本一の産地とされ、1976年に経済産業大臣(当時は通商産業大臣)指定の伝統的工芸品となりました。金釘を使わない指物の技で隙間なく組み上げられ、古くなっても表面を削って再生できるため、100年以上使えるといわれます。

発祥

加茂での簞笥づくりは、江戸時代の天明年間(1781〜1789年)に始まったとされます。丸屋小右エ門が大工仕事のかたわら、杉材で簞笥を作り始めたと伝えられています。加茂は周辺に天然の桐材が豊富で、指物師たちは桐で保存用の箱なども作っていました。市内の旧家には、文化11年(1814年)に購入された記録の残る桐簞笥が現存しています。

歴史

文政3年(1820年)頃には、桐箱や桐簞笥が加茂川から信濃川へと船積みされ、新潟や東北方面へ移出されていました。明治10年(1877年)の記録には簞笥400棹・長持200棹の生産が記され、明治15年(1882年)頃には北海道から東北六県へ出荷されて活況を呈しました。1976年12月15日に国の伝統的工芸品に指定され、現在も全国の桐簞笥生産の約7割を担う産地とされています。

特徴

桐は軽く、湿度に応じて膨らんだり縮んだりすることで中の衣類を湿気から守ります。タンニンやパウロニン、セサミンといった成分を含み、虫や菌の害を受けにくいのも特長です。加茂桐簞笥は複数の板を合わせて柾目を揃え、ほぞ組みや蟻組み、木釘で組み立てるため、金釘を一切使いません。空気が漏れる隙間もないほどの精度で仕上げられます。

技法

板矧ぎと柾目合わせ

何枚かの桐板を合わせて1枚の板にし、表と裏の柾目(まっすぐに通った木目)を特殊な技法で揃えていきます。簞笥全体に整った木目の美しさを生み出す、加茂桐簞笥の要となる技です。

蟻組み・ほぞ組み

板の端を台形の「蟻」や凸形の「ほぞ」に加工してかみ合わせる組み方です。木釘と併せて使い、金釘を用いずに本体や引き出しを組み上げます。手工具で調整を重ね、隙間のない精度に仕上げます。

焼桐・砥の粉仕上げ

組み上げた簞笥の表面をガスバーナーで焼き上げたあと、砥の粉(とのこ:粘土を焼いて細かな粉にしたもの)を塗って色を整える、伝統的な仕上げの方法です。

使用される素材

桐材木釘砥の粉金具

制作工程

  1. 1

    製材・乾燥

    桐の丸太を板に挽き、1〜3年ほど天然乾燥させて渋を抜く。

  2. 2

    木取り

    板を簞笥のどの部分に使うか決める。品質と歩留まりを左右する。

  3. 3

    組み立て

    ほぞ組みや蟻組み、木釘で本体や引き出しを組む。

  4. 4

    仕上げ

    表面を焼き、砥の粉を塗って色を整える。

  5. 5

    金具付け

    金具を取り付けて完成させる。

主な産地
  • 加茂市
  • 南蒲原郡田上町

職人・工房

桐の蔵

1942年に初代が桑原タンス店として始めた、三代続く桐たんす工房。田上町の工房に隣接してショールームを設け、整理たんすや和たんす、洋服たんすなどを製作・販売している。

公式サイト →

桐工房SHIGENO(茂野タンス店)

加茂桐たんすのほか、モダンな桐家具や桐玩具、桐小物も手がける工房。桐たんすは受注生産で、加茂桐簞笥祭りの参加工房にも名を連ねている。

公式サイト →

購入方法

桐の蔵 ショールーム
工房に隣接するショールームで桐たんすを展示販売。掲載商品では整理たんすが58万円程度から、和たんすが65万円程度からで、100万円を超える品も多い。購入先を見る →PR
加茂桐簞笥祭り
加茂簞笥協同組合が主催する催し。2024年(第23回)は10月に加茂市産業センターを会場に開かれ、100点以上を並べる産地直販会や工房巡り、桐カンナかけ大会が行われた。購入先を見る →PR

体験施設

加茂簞笥協同組合(桐簞笥工場見学)

新潟県加茂市幸町2-2-4

組合を通じて桐簞笥工場の見学を受け付けており、職人が簞笥を作る様子を間近で見られるほか、桐小物の製作体験もある。実施は平日のみで、料金などは組合へ問い合わせを。

詳細を見る →

よくある質問

Q. 桐簞笥はなぜ衣類の保管に向いているのですか?

A. 桐は外の湿度が高くなると膨らんで湿気を入れず、乾燥すると縮んで通気を良くする性質があります。虫や菌の害を防ぐ成分も含むため、着物などの大切な衣類をしまうのに適しています。

Q. 古くなった桐簞笥は直せますか?

A. 桐簞笥は表面を削るなどして再生でき、100年以上長持ちするといわれます。加茂の工房には、新しい簞笥の製作・販売とあわせて、古い桐簞笥の再生を手がけているところもあります。

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