
出雲めのう細工は、島根県松江市玉湯町(玉造温泉の周辺)で作られる貴石の工芸です。町内の花仙山で採れる青めのうなどを、一人の職人が原石の切断から研磨・仕上げまで一貫して手作業で加工します。花仙山のめのうは、原石の部位によって青や赤、透明と色が異なり、古墳時代前期後半(4世紀頃)から色とりどりの玉として全国に流通しました。花仙山のふもとでは古墳時代前期から平安時代にかけて大規模な玉作りが行われ、その工房跡は国の史跡「出雲玉作跡」として保存されています。平安時代でいったん途絶えた玉作りは、江戸時代末期に「出雲めのう細工」として再び始まりました。玉湯町は三種の神器の一つ、八坂瓊勾玉の発祥地ともいわれ、勾玉は町のシンボルマークにもなっています。現在はペンダントやネックレス、カフスボタン、置物などが作られ、島根県ふるさと伝統工芸品に指定されています。
発祥
出雲めのう細工の源は、古代の玉作りにあります。玉湯町の花仙山(標高199m)は、碧玉やめのうなど玉の原材料を産出する山として知られます。花仙山の南西の裾にある出雲玉作跡では、昭和44年と46年の発掘調査で約30棟の玉作り工房跡が見つかりました。勾玉や管玉、丸玉、切子玉などの玉類とともに、砥石や鉄製のドリルといった工具も出土しています。
歴史
古墳時代半ば以降、出雲は全国有数の玉の産地となりました。平安時代に途絶えた玉作りは、江戸時代末期によみがえりました。明治34年(1901年)には新宮福次郎が玉造温泉街に「しんぐうめのう店」を開きます。その流れをくむ株式会社めのやが、今も勾玉を作っています。1982年3月には、出雲めのう細工が島根県ふるさと伝統工芸品に指定されました。
特徴
めのうは硬度の高い天然石で、磨き上げると艶が長く保たれます。出雲めのう細工では、熱が出るほど石を磨き込む手作業を大切にしています。分業はせず、一人の職人が原石の切断から仕上げまでを受け持つのも特徴です。古代から作られてきた勾玉のほか、現在はペンダントやネックレスが生産の主流で、カフスボタンや置物も作られています。
技法
摺りと磨き
荒削りした石を、一番摺りから四番摺りまで段階を追って摺り、形と面を整えていく技法である。最後に板摺り磨きと仕上げ磨きを行い、熱が出るほど磨き込んで、めのう特有の艶を引き出す。
一貫した手仕事
一人の職人が、原石を切り分ける引き割りから荒削り、摺り、磨きまでを一貫して手作業で行う。島根県の資料では、この一貫した手作業が出雲めのう細工の特徴として挙げられている。
使用される素材
制作工程
- 1
引き割り
原石を切断する。
- 2
荒削り
おおまかな形に削り出す。
- 3
一番摺り〜四番摺り
4段階に分けて摺り、形と表面を整える。
- 4
板摺り磨き
板を使って磨き、面をなめらかにする。
- 5
仕上げ磨き
熱が出るほど磨き上げ、艶を出して仕上げる。
| 主な産地 |
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|---|
職人・工房
株式会社めのや
1901年に新宮福次郎が玉造温泉街に開いた「しんぐうめのう店」を源流とする会社。島根県の資料で出雲めのう細工の指定事業者に掲載されている。出雲型勾玉やめのう製品を作り、玉造温泉街のめのうやしんぐうのほか、全国の店舗で販売している。
公式サイト →購入方法
- めのうやしんぐう
- 玉造温泉街の松江市玉湯町玉造325にある、めのう細工の老舗。めのうの加工道具や工程も展示している。旅行情報サイトでは、ペンダント2,000円〜、ブレスレット2,000円〜、勾玉ストラップ1,000円〜と紹介されている。日曜定休。購入先を見る →PR
体験施設
松江市出雲玉作資料館
島根県松江市玉湯町玉造99-3
出雲玉作跡の出土品を展示する玉の資料館で、1977年に開館しました。2階では、江戸時代末期に復活した出雲めのう細工の歴史や道具、作品を紹介しています。入館料は大人300円(高校生以下無料)で、月曜と休日の翌日が休館です。
出雲玉作史跡公園
島根県松江市玉湯町玉造
玉作りの工房跡が見つかった丘の斜面に整備された公園で、工房跡の保存施設や復元した建物を見学できます。無料駐車場があり、出雲玉作資料館と合わせて古代の玉作りをたどれます。
詳細を見る →よくある質問
Q. いずもまがたまの里伝承館で勾玉づくり体験はできますか?
A. できません。玉湯町にあった「いずもまがたまの里伝承館」は、新型コロナウイルスの影響による来館者の減少を受け、2022年1月31日に閉館しました。旅行サイトには勾玉づくり体験の案内が残っている場合があるので注意してください。
Q. 若狭めのう細工とはどう違いますか?
A. 若狭めのう細工は福井県小浜市の工芸で、原石に熱を加える「焼き入れ」で鮮やかな赤色を引き出すのが特徴です。出雲めのう細工は、花仙山の青めのうなどを使い、古代から続く勾玉づくりの伝統に根ざしています。