本場黄八丈

Honba Kihachijo

本場黄八丈 1

画像: Wikimedia Commons

本場黄八丈は、東京都心から南へ約290キロ、絶海の孤島・八丈島に伝わる草木染めの絹織物である。かつて「鳥も通わぬ島」と呼ばれた島の中で、室町時代には貢納品として白紬が納められていたと伝わり、現在に続く染色技法が確立したのは江戸時代の寛政年間(1789〜1801年)頃とされる。島に自生する植物だけを染料とし、黄色は八丈刈安(コブナグサ)、樺色(茶褐色)はマダミ(タブノキ)の樹皮、黒色は椎の木の樹皮を用いた泥染めによって糸を染め上げる。染めた糸を手投げ杼(て​なげひ)で織り込み、無地・縞・格子といった極めてシンプルな意匠に仕立てるのが特徴で、着るほどに生地が体になじみ、洗うほどに色が冴えるとも言われる。黒染めには椎皮の煎じ汁での染色と天日干しを約40回も繰り返す入念な工程があり、深く艶やかな黒を生み出す。江戸時代中頃には縞や格子模様も織られるようになり、島の女性たちが代々受け継いできた手仕事として今日まで続いている。1977年(昭和52年)に国の伝統的工芸品に指定された。

発祥

本場黄八丈の歴史は古く、室町時代にはすでに八丈島から貢納品として白紬が納められていたと伝わる。絶海の孤島である八丈島は流人の島としても知られ、限られた資源の中で島の女性たちが機を織る文化が育まれてきた。島に自生する植物のみを染料とする独自の染織技術が、長い年月をかけて磨かれていった。

歴史

現在に伝わる黄・樺・黒の三色を基調とする染色技法が確立されたのは、江戸時代の寛政年間(1789〜1801年)頃とされる。江戸時代中期には縞や格子の模様も織られ始め、意匠に広がりが生まれた。島の女性たちが代々技術を受け継ぎながら手仕事を続け、1977年(昭和52年)10月に国の伝統的工芸品に、1982年(昭和57年)12月には東京都の伝統工芸品に指定された。

特徴

本場黄八丈の最大の特徴は、島に自生する植物だけを用いた草木染めにある。黄色は八丈刈安(コブナグサ)、樺色はマダミ(タブノキ)の樹皮、黒色は椎の木の樹皮を用いた泥染めで染め上げ、この三色を基調に無地・縞・格子といったシンプルな意匠に織り上げる。特に黒染めは、椎皮の煎じ汁で糸を染めては脱水し天日で干す工程を約40回も繰り返すことで、深く艶やかな光沢を生み出す。着るほどに生地が体になじみ、洗うほど色が冴えるとされる。

技法

草木染め(黄・樺・黒)

島に自生するコブナグサ、マダミ(タブノキ)、椎の木を染料とし、糸を先染めする。特に黒染めは椎皮の煎じ汁での染色と天日干しを約40回繰り返し、深い艶を生む。

手投げ杼による手織り

染め上げた糸を手投げ杼を用いてよこ糸に打ち込み、平織りまたは綾織りで織り上げる。無地・縞・格子のシンプルな意匠に、染料本来の色の美しさを際立たせる。

使用される素材

生糸(絹糸)八丈刈安(コブナグサ)マダミ(タブノキ)椎の木の樹皮

制作工程

  1. 1

    糸繰り・糸染め

    生糸を繰り、コブナグサ・マダミ・椎の木の樹皮などの染料で黄・樺・黒の三色に糸を先染めする。

  2. 2

    泥染め・天日干し

    黒染めでは椎皮の煎じ汁での染色と脱水、天日干しを約40回繰り返し、深く艶やかな黒色に仕上げる。

  3. 3

    整経・機掛け

    染め上げた糸を縞や格子の柄になるよう順序よく並べ、織機にかける準備を行う。

  4. 4

    手織り

    手投げ杼を用いてよこ糸を打ち込みながら、平織りまたは綾織りで一反の反物に織り上げる。

主な産地
  • 八丈島(八丈町)

職人・工房

黄八丈めゆ工房

創業145年、八丈島で代々黄八丈を織り継ぐ山下家の工房。四代目の山下芙美子氏が中心となり、草木染めから機織りまで一貫した手仕事で本場黄八丈を製作しており、工房見学や小物の販売も行っている。

公式サイト →

購入方法

黄八丈めゆ工房
八丈島中之郷にある山下家の工房直売所。反物のほか草木染めの小物類を購入でき、伝統の染織技法を間近で見学することもできる。購入先を見る →PR

体験施設

黄八丈めゆ工房

東京都八丈島八丈町中之郷2542

9:00〜12:00/13:00〜17:00開館(要問い合わせ)。工房見学のほか、機織り体験は3,300円程度〜、染色から手がける本格体験は1万円程度〜で本場黄八丈の技を体感できる。

詳細を見る →

よくある質問

Q. 本場黄八丈はどこで作られていますか。

A. 東京都心から南へ約290キロにある離島、八丈島で作られている。島に自生する植物のみを染料に用いる点が最大の特徴で、他地域では再現できない独自の草木染め技術が受け継がれている。

Q. 黄八丈の三色にはどんな意味がありますか。

A. 黄色は八丈刈安(コブナグサ)、樺色はマダミ(タブノキ)の樹皮、黒色は椎の木の樹皮による泥染めで染め出される。いずれも島に自生する植物由来の色で、無地・縞・格子のシンプルな意匠に織り込まれる。

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