常陸獅子

Hitachi Jishi

常陸獅子 1

常陸獅子は茨城県石岡市に伝わる獅子頭で、角を持たず、太く力強い眉と勇壮な表情を特徴とする。石岡の獅子舞に関する最古の記録は江戸末期の1854年(安政元年)の文書に見られ、当初は僧侶が経を唱えながら町を練り歩き悪魔祓いを行う「行道」の獅子として発展したと伝わる。近代以降、地域最大の祭礼である常陸国総社宮例大祭(石岡のおまつり)に各町内の獅子が一堂に会するようになり、獅子頭作りの需要とともに技術が磨かれてきた。現代の職人による製作では、地元産の桐材を木地に用い、耳・眉・目・鼻・上下顎などを部位ごとに彫り出して組み合わせ、本漆と純金箔で仕上げるのが特徴。石岡市内には獅子頭の制作技術を教える教室や工房があり、飾り獅子として購入することもできる、全国的にも珍しい「生きた」郷土工芸である。

発祥

常陸獅子(獅子頭)の起源は明確な文献では定かでないが、石岡の獅子舞に関する最古の記録は1854年(安政元年)の古文書に見られる。当初は僧侶が経を唱えながら家々を回り悪魔祓いを行う「行道」の獅子として登場したと伝わり、地域の魔除け・厄払いの信仰と結びついて広まった。角を持たず太く力強い眉を特徴とする独特の面相は、石岡の獅子頭ならではの意匠とされる。

歴史

近代以降、常陸国総社宮例大祭(石岡のおまつり)に石岡市内の各町内が獅子を繰り出すようになり、獅子頭の需要と職人技が高まっていった。祭りでは幌をかぶせた台車の先端に獅子頭を付けて舞う「幌獅子」という石岡特有の様式が発達し、町内ごとに異なる幌の色で識別される。現在も来栖保氏やNPO法人常陸獅子彫刻伝修館などの職人・団体が製作技術を受け継ぎ、後進の育成にも力を注いでいる。

特徴

石岡の祭礼で使われる獅子頭は、全体に黒漆を塗り、目や歯に金箔を施し、喉にあたる部分を軍鶏の羽根で覆う伝統的な意匠が特徴とされる。一方、現代の職人による製作では、地元・石岡産の桐材を木地に用い、耳・眉・目・鼻・上下顎など各部位を個別に彫り出してから貼り合わせ、朱色の下地の上に本漆と純金箔を重ねて仕上げる手法も伝えられている。角を持たない勇壮な面相と太く力強い眉が共通の特徴で、地域の祭礼文化を支える実用工芸として今も息づいている。

使用される素材

キリ(桐)黒漆・本漆純金箔

制作工程

  1. 1

    部位ごとの木地づくり

    石岡産の桐材を用いて、耳・眉・目・鼻・上下顎などの部位を一つずつ彫り出す。

  2. 2

    貼り合わせ

    彫り出した各部位を組み合わせて貼り合わせ、獅子頭全体の形を作り上げる。

  3. 3

    下地・上塗り

    朱色の下地を重ねたのち、本漆と純金箔で仕上げる。内部にも同じ素材を用いる徹底したつくりが特徴。

主な産地
  • 石岡市

職人・工房

来栖保

石岡市若宮を拠点に25歳から東京で13年間修業し独立、50年以上にわたり常陸獅子の製作に携わる職人。石岡教室で32年以上にわたり後進の指導にもあたっている。

体験施設

常陸獅子彫刻伝修館

茨城県石岡市石岡2747-5

NPO法人が運営する獅子頭彫刻の教室兼工房。会長・櫻井光保氏のもと県内6か所の教室で全国から集まる弟子や生徒に技術を伝えており、獅子頭の製作・販売・修理にも対応する。飾り獅子は5万円程度から購入できる。

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