広島仏壇

Hiroshima Butsudan (Hiroshima Buddhist Altars)

広島仏壇 1

広島仏壇(ひろしまぶつだん)は、広島市を中心に作られる仏壇です。主な製品は、内部を金箔で荘厳した金仏壇(きんぶつだん)です。1978年(昭和53年)に、熊野筆に続いて県内で2番目に国の伝統的工芸品に指定されました。製作は分業制で、木地、宮殿(くうでん)、彫刻、金具、塗り、金箔押し、蒔絵などの工程を、それぞれ専門の職人が受け持ちます。こうした工程を担う伝統工芸士は「七匠(ななしょう)」と呼ばれ、その技が一本の仏壇に結集します。とくに漆の上塗りと金箔押しの技術に定評があり、漆の深い黒と金箔の輝きの対比が見どころです。広島市中心部には仏壇店が集まる「仏壇通り」があり、製造から販売までを手がける老舗が今も店を構えています。

発祥

広島仏壇は、江戸時代初期に紀州(和歌山県)から移り住んだ飾り金具師、桧物(ひもの)細工師、塗師(ぬし)らの技術を土台にしています。元和5年(1619年)に浅野長晟(ながあきら)が紀州から広島へ移った際、随従した職人の中にこうした細工師がいたとされます。さらに享保元年(1716年)頃、僧の敦高が京都や大坂で高度な製造技術を学んで帰り、技法が確立したといわれます。

歴史

広島では浄土真宗が広く根づき、仏壇づくりを支えました。江戸時代末期には、旧西国街道沿いの堀川町や銀山町に仏壇問屋街ができます。明治時代には瀬戸内海の水運を生かして大阪などへ出荷され、大正末期には生産量が全国一になったとされます。1945年8月6日の原爆では多くの職人を失いましたが、戦後に戻った職人や新たな弟子たちが産地を復興させました。1974年には広島宗教用具商工協同組合が設立され、1978年2月6日に国の伝統的工芸品に指定されています。

特徴

広島仏壇は浄土真宗本願寺派(西本願寺)の仏壇が中心とされ、形は大阪型に似ています。木地には杉、松、檜を使い、釘を使わない「ほぞ組み」の組立式で作ります。下地には、広島名産の牡蠣の殻を細かく砕いて作る胡粉(ごふん)を用いるのが特徴です。上塗りの「立て塗」や金箔押しのほか、盛り上げて描く高蒔絵(たかまきえ)、欄間の彫刻の技術も高く評価されています。

技法

立て塗

上塗りの漆を塗った後、研いだり磨いたりせず、そのまま乾かして仕上げる塗りの技法である。刷毛の跡やほこりが残らないように塗るには、高度な技術が要る。広島仏壇はこの立て塗に定評があり、深い黒艶が仏壇に重厚さを与える。

金箔押し

塗り上げた部分に、薄い金箔を一枚ずつ押して貼る技法である。仏壇の内部を金色に荘厳し、浄土の世界を表す。広島仏壇は塗りとともに金箔押しの技術に優れているとされる。塗師がこの工程まで受け持つ。

高蒔絵

砥粉(とのこ)と膠(にかわ)を練り合わせた材料を盛り上げて、立体的に文様を描く蒔絵の技法である。広島県は、高蒔絵を広島仏壇の優れた技術の一つに挙げている。平らに描く蒔絵よりも文様に厚みが出る。

使用される素材

杉・松・檜(木地)漆金箔銅・銅合金(飾り金具)胡粉(牡蠣殻)

制作工程

  1. 1

    木地

    杉や松、檜で本体をほぞ組みの組立式に作る。

  2. 2

    宮殿づくり

    本尊を安置する宮殿を、ます組みで細かく組み上げる。

  3. 3

    木彫刻

    欄間などの彫刻を彫る。

  4. 4

    卓型

    仏具を置く卓などの部材を作る。

  5. 5

    漆塗り

    胡粉で下地をつくり、漆を塗り重ねて上塗りする。

  6. 6

    かざり金具

    銅や銅合金で飾り金具を作る。

  7. 7

    蒔絵

    扉などに蒔絵で文様を描く。

  8. 8

    箔押し

    塗り上げた部分に金箔を押す。

  9. 9

    組み立て

    各部門の部材を仕立て、一本の仏壇に組み上げる。

主な産地
  • 広島市
  • 三原市
  • 福山市
  • 府中市
  • 三次市

職人・工房

三村松

広島市中区堀川町の仏壇通りで、慶応元年(1865年)に創業した仏壇・仏具の製造販売店である。国内の自社工場で下地から塗り、金箔押し、彩色、組み立てまでを一貫して行い、修復専門の工場も持つ。全国伝統的工芸品仏壇仏具展で多くの賞を受けている。

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高山清

大正2年(1913年)に仏壇の塗師屋として始まった、堀川町の仏壇・仏具の製造卸・小売業者である。創業者の漆塗りと純金箔押しの技を受け継ぎ、広島仏壇で中小企業庁長官賞を受けた。四代目の漆芸作家・高山尚也は、京都で学んだ蝋色(ろいろ)磨きの技も取り入れている。

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購入方法

三村松 本社(ぶつだん通り)
広島市中区堀川町2-16にある三村松の本社店舗である。金仏壇や唐木仏壇、現代の住まいに合うモダン仏壇、仏具を扱う。同社は、金仏壇の製造実績で47年連続日本一(宗教工芸新聞調べ)と発表している。県内外にも店舗がある。購入先を見る →PR
高山清のオーダーメイド仏壇
高山清は個人宅向けの仏壇をオーダーメイドで製作し、マンション用の小型仏壇やモダンな仏壇もそろえる。仏事コーディネーターが宗派による違いなどの相談に応じる。仏壇の修復やクリーニングも受け付けている。購入先を見る →PR
広島宗教用具商工協同組合
広島仏壇の産地組合で、広島市中区堀川町2-16に事務局がある(電話082-243-5321)。広島市の紹介ページでは、伝統的工芸品の広島仏壇の小売価格を300万〜500万円以上と案内している。購入先を見る →PR

体験施設

高山清 工房見学&コースター箔押し体験

広島県広島市中区堀川町2-17

漆芸作家の高山尚也の話を聞きながら工房を見学し、本金箔を使って漆のコースターに箔押しをします。英語ガイド付きの10〜40人向けツアーで、所要約1時間30分です。料金は2025年11月時点で22,000円と案内されています。開催1か月前までに一般社団法人My Japanへ問い合わせます。

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よくある質問

Q. 広島仏壇の「七匠」とは何ですか?

A. 仏壇づくりの工程を分担する、それぞれの専門職人を指す呼び名です。広島市は、七つの工程に携わる伝統工芸士の技が集まった仏壇と紹介しています。広島県は、木地、狭間(さま)、宮殿、須弥壇、錺(かざり)金具、塗漆、金箔押し、蒔絵などの工程を挙げています。

Q. 広島の「仏壇通り」とはどこですか?

A. 広島市中区の銀山町から堀川町にかけての通りで、仏壇店が多いことからこう呼ばれます。旧西国街道沿いにあたり、江戸時代末期にはこの付近に仏壇問屋街ができていました。周辺には飲食店なども多い繁華街ですが、今も老舗の仏壇店が並んでいます。

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