姫だるまは、愛媛県松山市の道後に伝わる縁起物の郷土玩具です。赤い衣を着たふくよかな姿で、神功皇后(じんぐうこうごう)が道後温泉で応神天皇を身ごもったという伝承にちなむとされます。安産や子宝、縁結びのお守りとして、結婚や出産、新築の祝いに贈られてきました。伝統的な張り子の姫だるまは、明治のはじめに両村庫造(りょうむらくらぞう)が考案したとされ、今も両村家の五代目が手作りしています。胴は和紙を張り重ねた張り子で、顔は素焼きの粘土をはめ込みます。1950年代には、金襴(きんらん)の布で衣を表す金襴姫だるまも生まれ、松山の土産として広く知られるようになりました。2002年(平成14年)に愛媛県の伝統的特産品に指定されています。松山市内では、姫だるまを作る体験もできます。
発祥
姫だるまの誕生には諸説あります。よく語られるのは、神功皇后が道後温泉に立ち寄り、のちの応神天皇を身ごもったことを記念して作られたという伝承です。懐妊中の皇后の姿を表したとも、生まれた応神天皇の姿を表したともいわれます。対になる「錦だるま」は、戦いに向かう男装の皇后を表すとも伝えられます。
歴史
張り子の姫だるまは、明治のはじめに両村庫造が考案したとされ、神社の縁起物として売られていたと伝わります。1950年代には金襴の布を使う金襴姫だるまが作られ始めました。張り子より手軽に作れるよう工程を工夫したもので、1960年代に売れ行きが最も伸び、最盛期には松山に40を超える工房があったと報じられています。1950年代末の皇太子ご成婚の際には、正田家に大きな姫だるまが贈られ、全国に知られるきっかけになったとされます。
特徴
張り子の姫だるまは、胴を和紙の張り子で作り、素焼きの粘土で作った顔を別にはめ込みます。頭の上と胸には宝珠(ほうじゅ)が描かれ、金彩の模様が添えられます。すべて手作業のため、形や表情に一つずつ違いがあります。大きさは高さ4.5センチほどの小さなものから、一対で飾る大きなものまでさまざまです。
使用される素材
制作工程
- 1
糊づくり・紙ごなし
小麦粉から自家製の糊を作るところから始まります。紙を張り合わせ、「紙ごなし」と呼ぶ作業で紙をやわらかくして、型になじみやすくします。両村家の張り子の姫だるまは、すべての工程が手作業です。
- 2
型への張り付け
やわらかくした紙を型に張り付け、だるまの胴の形を作ります。乾いたら型から外し、形を整えます。五代目の両村信恵さんは、受け継いだ型を使って張り子を作っていると紹介されています。
- 3
塗り・文様描き
胴を赤く塗り、衣の文様を描きます。頭の上と胸には宝珠を描き、金彩の模様を丁寧に添えます。赤い衣は、皇后のふくよかな姿を表すとされる姫だるまの印象を決める部分です。
- 4
顔作り・表情描き
顔は粘土で作り、素焼きにしてから絵付けをします。最後に表情を描き入れ、胴にはめ込んで仕上げます。同じ型から作っても、表情は一体ずつ異なります。
| 主な産地 |
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職人・工房
五代目 両村信恵(両村家)
明治のはじめに張り子の姫だるまを考案したとされる両村庫造から続く家の五代目です。糊づくりから表情描きまで、すべて手作業で作っています。販売先はごく限られていると紹介されています。
大勝(田中勝美)
1938年(昭和13年)に松山市で生まれ、40年余り姫だるまを作り続けてきた作り手です。2002年(平成14年)3月に、えひめ伝統工芸士に認定されました。作品には「大勝作」の作者札が付きます。
購入方法
- 港や(姫だるまと和雑貨の店)
- 愛媛県の資料で姫だるまの問い合わせ先とされる店です。えひめ伝統工芸士・大勝の姫だるまを扱い、一対の3号は7,700円、1号は13,200円(税込)です。女性側のみの4号は1,650円で紹介されています。購入先を見る →PR
- 旅猫雑貨店(オンライン)
- 五代目両村の張り子の姫だるまを扱う通販サイトです。最も小さい6号(高さ約4.5センチ)は1,320円(税込)で紹介されていました。手作りのため、品切れの時期もあります。購入先を見る →PR
体験施設
Art Labo KASURI
愛媛県松山市大街道3-8-1
専用キットで姫だるまを作る体験ができます。料金は1人1,600円、2名で約60分と紹介されています。対象は5歳以上で、子どもは保護者の同伴が必要です。伊予かすりの布を使うプランも紹介されています。
よくある質問
Q. 姫だるまと錦だるまの違いは何ですか?
A. 赤い衣のふくよかな姫だるまは、懐妊した神功皇后の姿を表すとされます。対になる錦だるまは、戦いに向かう男装の皇后を表すとも伝えられます。一対で飾るセットとして販売されることも多くあります。
Q. 張り子の姫だるまと金襴姫だるまはどう違いますか?
A. 張り子の姫だるまは、明治のはじめに生まれたとされる伝統的な製法で、胴に和紙を張り重ねて作ります。金襴姫だるまは1950年代に作られ始めたもので、金襴の布で衣を表し、張り子より手軽に作れるよう工夫されています。
Q. 姫だるまはどこで買えますか?
A. 松山市の港やでは、えひめ伝統工芸士の作品をインターネットや電話で注文できます。港やが考案した姫だるまのキャラクター「あいちゃん」のグッズは、松山空港や道後の一部のホテル、伊予灘サービスエリアなどでも販売されています。