阿波正藍しじら織

Awa Shoai Shijira-ori (Awa Indigo Crepe Cotton)

阿波正藍しじら織 1

阿波正藍しじら織(あわしょうあいしじらおり)は、徳島県徳島市で織られている木綿の織物です。表面に「シボ」と呼ばれる細かな凹凸があり、肌に張りつきにくく、さらりとした肌ざわりが特徴です。明治時代の初め、阿波国名東郡安宅村(現在の徳島市安宅)の海部ハナ(かいふはな)が、木綿縞の「たたえ織」を改良して考え出したといわれます。干していた着物がにわか雨に濡れ、日に当てて乾かしたところ縮んでいたことが、きっかけと伝えられます。天然の阿波藍で染めた糸を使うものが「阿波正藍しじら織」で、1978年(昭和53年)に国の伝統的工芸品に指定されました。軽くて涼しいため、夏の着物や甚平、作務衣などに使われます。現在は徳島市国府町(こくふちょう)の織元が、糸染めから織り、仕上げまでを手がけています。

発祥

しじら織の前身は、寛政年間ごろに阿波で織られていた木綿縞「たたえ織」とされます。安宅村の海部ハナは、干していた木綿縞が突然の雨に濡れ、日に干して取り込むと所々に凹凸ができているのに気づきました。これを糸の組み合わせで再現するよう工夫したのが、しじら織の始まりとされます。考案の時期は明治初期とする資料が多い一方、1866年(慶応2年)や江戸末期とする資料もあります。

歴史

しじら織は、徳島の地場産業として織り継がれてきました。1978年(昭和53年)7月には、天然の阿波藍で染めたものが「阿波正藍しじら織」として経済産業大臣指定の伝統的工芸品になりました。2010年(平成22年)には「とくしま市民遺産」に選ばれています。現在は阿波しじら織協同組合が徳島市国府町にあり、同町の織元が生産を続けています。

特徴

経糸(たていと)の張力の差を利用して、布の表面にシボを出すのが最大の特徴です。シボがあるため、汗をかいても肌に張りつきにくく、べたつきません。吸湿性に富み、軽くて涼しいため、夏の衣料に向いています。作務衣や甚平などの衣料のほか、近年は日傘やネクタイ、ストール、のれんなどの小物にも仕立てられています。

技法

張力差によるシボ

経糸には、地となる「地たて糸」と、シボを生む「たたえ糸」の2種類を使います。綾竹(あやたけ)の位置を調整し、2種類の経糸の張力の差を一定に保ちながら織ります。その後、湯に通して縮ませると、凹凸が表れます。

使用される素材

綿糸阿波藍(すくも)

制作工程

  1. 1

    糸染め

    白糸を染めて水洗いし、糊付けをして天日で干す。正藍しじら織では藍で手染めした糸を使う。

  2. 2

    糸繰り・整経

    糸を木管に巻き直し、整経機で経糸を並べて縞柄をつくる。

  3. 3

    機織り

    2種類の経糸の張力差を保ちながら、織機で織り上げる。

  4. 4

    検反

    色むらや傷がないかを人の目で確かめる。

  5. 5

    湯通し・乾燥

    湯に通してから乾かすと、しじら織特有のシボが表れる。

主な産地
  • 徳島市

職人・工房

長尾織布

徳島市国府町和田にある、1897年(明治30年)創業の阿波しじら織の織元である。糸染めから機織り、作務衣などの製品加工・販売までを一貫して行う。のこぎり屋根の工場には着尺幅の織機が約80台並び、古いものは1930年代の機械である。

岡本織布工場(織工房 藍布屋)

徳島市国府町和田161にある織物工場で、「藍布屋(らんぷや)」の名で阿波正藍しじら織の製品を販売している。シャツや作務衣、甚平、スカーフ、のれん、小物などを扱い、オンラインショップも開いている。

公式サイト →

購入方法

長尾織布の工場併設ショップ
工場に併設された店舗で、甚平や日傘、ネクタイなどのしじら織製品を販売している。インターネットでの販売も行っている。営業日や時間は変わることがあるため、事前に電話(088-642-1228)で確かめるとよい。
藍布屋 オンラインショップ
岡本織布工場が運営するオンラインショップで、阿波正藍しじら織のシャツや作務衣、ストール、のれんなどを購入できる。購入先を見る →PR

体験施設

長尾織布 工場見学・藍染体験

徳島県徳島市国府町和田居内189-2

徳島新聞の記事では、工場見学は約20分で無料、藍染体験は約30分で1,000円程度からと紹介されています。いずれも予約が必要です。受付を休止していた時期もあるため、現在の受付状況は事前に問い合わせてください。

よくある質問

Q. 「阿波しじら織」と「阿波正藍しじら織」は違うものですか?

A. しじら織のうち、天然の阿波藍で染めた糸を使ったものが「阿波正藍しじら織」と呼ばれ、国の伝統的工芸品に指定されています。藍以外の染料で染めた糸を使うものも含め、広くは「阿波しじら織」と呼ばれています。

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