庵治石製品

Aji-ishi Stone Products (Aji Granite)

庵治石製品 1

庵治石製品は、香川県高松市の庵治町と牟礼町で採れる花崗岩「庵治石(あじいし)」を加工した石製品です。庵治石は五剣山(ごけんざん)の麓で採掘され、正式には黒雲母細粒花崗閃緑岩(くろうんもさいりゅうかこうせんりょくがん)とされます。きめが細かく硬いため、磨くほど艶が出て、年月がたっても変色しにくい石です。磨くと黒雲母のまだら模様が浮かぶ「斑(ふ)」が現れることが最大の特色で、「花崗岩のダイヤモンド」とも呼ばれます。細かな彫刻にも向くことから、高級墓石のほか、灯籠や石仏、彫刻の材料として重宝されてきました。彫刻家イサム・ノグチが称賛した石としても知られます。香川県伝統的工芸品「庵治産地石製品」に指定され、産地には今も200社あまりの業者が集まっています。

発祥

香川県の統計資料によると、庵治石は平安時代後期から採石され、京都にまで送り出されていました。石製品への加工は約650年前に始まったとされます。また、豊臣秀吉が大坂城の築城で讃岐に石材を求め、庵治の港から石が積み出されたことを始まりとする説もあります。1991年の地質調査所の記事でも、大坂城や高松城に庵治石が使われた形跡があると紹介されています。

歴史

江戸時代に高松藩の御用丁場(ごようちょうば、藩の採石場)となったことで、採石と加工は急速に発達しました。1814年に屋島東照宮の造営が始まると、和泉国(現在の大阪府)から石工が招かれて定住し、産地の基礎を築きました。明治から昭和初期は灯籠や石仏の注文が多かったといわれます。戦後は切断機や研磨機による機械化が進み、昭和35年頃に石材切削機が導入されて加工は大きく変わりました。

特徴

庵治石は細粒で、鉱物の並びにほとんど方向性がないため、細かな部分まで彫刻しやすい石です。文字を彫っても見やすく映えることから、墓石として特に珍重されてきました。黒雲母と石英の不均一な分布から生まれる「斑」は、磨くと重なった絣(かすり)のように浮かび、高く評価されています。石目の細かさにより「細目(こまめ)」「中目」などの区分があります。

使用される素材

庵治石(花崗岩)
主な産地
  • 高松市庵治町
  • 高松市牟礼町

職人・工房

伏石石材(伏石康宏)

庵治石の加工を手がける石材店です。雑誌『家庭画報』と香川県のコラボ企画では、伏石康宏さんがデザインと製作を担い、庵治石のクーラーとプレートのセットを受注生産で発表しました。価格は90,000円(税込)です。

公式サイト →

有限会社島本石材工業

高松市牟礼町牟礼にある石材加工業者です。高松市が2026年4月に出した伝統工芸の案内では、庵治石で石あかり(石の灯り)を作る体験が紹介され、料金は3,300円、所要時間は約1時間30分でした。

購入方法

AJI PROJECT
高松市牟礼庵治商工会と連携し、2012年に始まった庵治石の生活雑貨ブランドです。産地の石工職人が考案した箸置きや花器、カッティングボードなどがあり、一般販売価格は1,780円から1万円台が中心です。購入先を見る →PR

体験施設

高松市石の民俗資料館

香川県高松市牟礼町牟礼1810

大正末期から昭和初期の石切りや運搬の様子を実物大の人形ジオラマで再現し、石工道具約1,000点を展示しています。石に絵を描く「石deペイント」などのワークショップもあります。入館料は一般200円で、月曜日が休館です。

イサム・ノグチ庭園美術館

香川県高松市牟礼町牟礼3519

彫刻家イサム・ノグチが1969年から構えたアトリエと住居を公開する美術館で、約150点の彫刻作品などが見られます。完全予約制で、往復はがきでの申し込みが必要です。観覧料は一般2,000〜3,000円程度で、掲載時期により金額が異なるため事前の確認がおすすめです。

よくある質問

Q. 「斑が浮く」とはどういうことですか?

A. 庵治石を磨くと、黒雲母と石英が不均一に分布していることで生じるまだら模様が、表面に浮かび上がって見える現象です。重なった絣のようにも見え、庵治石ならではの特色として高く評価されています。

Q. 庵治石はなぜ高価なのですか?

A. 採石場(丁場)が五剣山周辺に限られ、上質な原石が少ないためとされます。1991年の地質調査所の記事でも、極上の原石が枯渇して採石の事業所が減り、価格も高いと説明されていました。きめの細かさや磨いた後の美しさも評価を支えています。

Q. 庵治石の採石場はどこにありますか?

A. 採石場は「丁場(ちょうば)」と呼ばれ、庵治町と牟礼町の境、五剣山の西側一帯に集まっています。1991年の地質調査所の記事では、丁場は約60か所あり、それぞれ独立した事業所が採石して加工業者に原石を販売していると紹介されていました。

Q. 香川県の石工品はどのくらい作られていますか?

A. 香川県の統計によると、2023年(令和5年)の石工品の出荷額は44億3,300万円で、全国3位、シェアは9.6%でした。庵治・牟礼の石材産業は、県を代表する地場産業の一つです。

Q. 庵治石を使った芸術作品はどこで見られますか?

A. 牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館では、ノグチの彫刻作品を見られます(要予約)。庵治には彫刻家・流政之(1923〜2018年)のアトリエと住居があり、「NAGARE STUDIO」として公開されています。石の民俗資料館でも石の彫刻が展示されています。

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